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「引っ越し=新生活が始まる」ということですよね。
今まで知らなかった新しい土地、新しい人間関係、新しい住居、すべてが一新され、「気持ち新たに」生活が始まります。
また、「脳」にとっては、今まで慣れた環境で多少マンネリ化して、刺激の少なくなっていた環境から、新しい環境に移り「脳」にとっては新しい刺激だらけで、とてもいいことです。
そんな気持ちの良い新生活を始めるのであれば、「良いことが有るように」と縁起を担ぎたくもなりますよね。
今回は「引っ越しする時、縁起の良い日と悪い日は。先勝と先負ならどちらを選ぶ?」と題して、
よく言われる「大安」、「仏滅」から、「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」という謎のワードまで、縁起にまつわる言葉を説明しつつ、いつ引っ越しをすると、縁起が良いのか悪いのかを解説していきます。
一般的にカレンダーにも載っている「六曜(ろくよう)」とは?
洋風のカレンダーでなければ、日本では普通に記載されている「大安」、「仏滅」などの「六曜(ろくよう)」。
大安が一番良くて、仏滅が一番悪いんでしょ。ぐらいは何となく知っているかもしれませんが、それ以外は、おみくじの「中吉」や「凶」みたいな感じ?と良く知らない方も多いかもしれません。
でもその考えは、まんざら間違いではありません。
六曜について、基本の復習
六曜と呼ばれるように、それは6つあり、もともとは中国で生まれた【時間の吉凶】を表すものでしたが、その後に「日の吉凶」を表すものに変化しました。
そして、そもそも「六曜」とは、中国で戦争や争いごとの「吉凶」を決めるために利用されていた「占い」がもとになっています。それが後に勝負事の縁起を担ぐに転化し、現在では「物事全体の縁起を担ぐ」にまで意味が広がりました。
日本には鎌倉時代ごろに中国より伝来し、江戸時代には爆発的ブームとなり庶民の暦にまで記載されるようになりました。しかし、明治時代に入り近代化が始まると、「吉凶」付きの暦は迷信であるとして、政府によって禁止されていた時代もありました。
太平洋戦争以後(戦後)は、政府の統制もなくなったため、再び広まり今に至っています。
また、順序としては、「先勝」⇒「友引」⇒「先負」⇒「仏滅」⇒「大安」⇒「赤口」⇒「先勝」と元に戻るのを繰り返すのですが、1年間ずっとこの順序が続くわけではなく、
旧暦の1月と7月の朔日(さくじつ:初日):先勝
旧暦の2月と8月の朔日(さくじつ:初日):友引
旧暦の3月と9月の朔日(さくじつ:初日):先負
旧暦の4月と10月の朔日(さくじつ:初日):仏滅
旧暦の5月と11月の朔日(さくじつ:初日):大安
旧暦の6月と12月の朔日(さくじつ:初日):赤口
で始まるというルールがあるため、現在の太陽暦を用いた暦では、循環が途切れ一度リセットされてしまう場合があります。
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六曜とそれぞれの意味
【先勝(せんしょう/さきかち)】
「先んずればすなわち勝つ」の意味を持ち、万事において急げば幸運が舞い込むと言われています。
【友引(ともびき)】
今では「凶事に友を引く、禍(わざわい)が友に及ぶ」というネガティブな意味がありますが、もともとは「勝負なき日と知るべく」と言われていて、「勝負事では何事も引き分けになる」=「共引(共に引き分け)」という意味で悪い意味ではありませんでした。
なお、慶事では、「幸せが友に及ぶ」ということで、大安と合わせて結婚式の日取りに選ばれることが多い日です。
【先負(せんぷ/さきまけ)】
「先んずればすなわち負ける」の意味を持ち、万時においてなるべく静かにしていた方が良いと言われ、勝負事や急用は避けた方がいいと言われています。
よって、
【仏滅(ぶつめつ)】
字のごとく、「仏も滅するような大凶日」という意味で、万事がむなしく終わるとされていて、祝い事や法事などは、禁忌(きんき)=タブーとされています。
ところが、元々は「虚亡」「空亡」という言葉でしたが、これを「すべてが虚しい」と解釈して、字も「物滅」と変わり、近年になって同じ音の「仏滅」の字になりました。
このような変遷をたどっていることから、「仏滅」を「物滅」という意味で「物が一度滅び、新たに物事が始まる(Reborn:生まれ変わる)」という風にポジティブに捉える考え方も出てきています。
また、近年では「六曜」をあまり気にする人も少なくなってきたことから、葬式や法事はもちろん、費用が安いからという理由もあり1割未満ですが結婚式を仏滅に行う方も増えてきているようです。
但し、年配の方には、六曜は未だに根強い影響力を持っているので、冠婚葬祭など行う際には、年配の方と相談したほうがいいでしょう。
引っ越し的には、ポジティブなイメージで使いたい「物滅」です。
【大安(たいあん)】
字のごとく「大いに安し」という意味で、一日を通して「吉」で、何事においても「吉」なため、成功しないことは無いとすら言われています。
そのため、特に結婚式では、一番人気の日取りとなっていて、予約を取るのが難しい日です。
【赤口(しゃっこう/せきぐち)】
赤口は、陰陽道「(おんみょうどう):古代中国の陰陽五行説に基づいて、自然現象や人間の吉凶を判断する学問」において、非常に横暴な「羅刹神(らせつしん)」が支配する「赤舌日(しゃくぜつにち)」に由来するという説と、同じく陰陽道で、訴訟や契約には縁起が悪いとされている「赤口日(しゃっこうび)」からきているという説と、もしくはその両方があります。
万時において、「凶」の厄日と言われています。
終日「凶」の日は仏滅だけじゃないのかと思うかもしれませんが、
であるという違いがあります。そんなピンポイントで吉と言われても...
また、「赤」の字が付くため、「火」や「血の赤」を連想させる刃物や死に関するものに注意すべきとされています。
しかし、お葬式やお通夜は、赤口よりも「友引」の日は必ず避けた方がいいことは良く知られています。
一方、お祝い事は、赤口と仏滅は避けたほうがいいと、一般的には言われています。
六曜のまとめ
以上を見ていただければわかる通り、
よって、今回の記事タイトル「先勝と先負ならどちらを選ぶ。」に当てはめるなら、
最新版2025年の吉凶カレンダーに戻りたい方は、こちら。
「天赦日(てんしゃにち)」と「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」
上記で説明した六曜の他に、特別な日である「天赦日(てんしゃにち)」と「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」という日も1年の内に巡ってきます。
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「天赦日(てんしゃにち)」
「天赦日(てんしゃにち)」とは、日本の暦の上で「最上の吉日」とされ、字のごとく、「天がすべての罪を赦す(ゆるす)日」であり、「万(よろず)よし=万時良し」という意味合いがあります。
その為、他の凶日と重なっていても、「万(よろず)よし」となり、冠婚葬祭他、すべての物事を行うのに、良い日となっています。
但し、受死日、十死日、不成就日のこの3ついずれかと重なると、効果が打ち消されてしまうので注意です。
「天赦日(てんしゃにち)」は1年に数回しかなく、2019年の暦では、
の7日しかありません。
赤字の日は、下で紹介する「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」とも重なるので特に縁起が良いですし、中でも9月8日は、さらに大安とも重なり「トリプルで縁起の良い」2019年で最良の日と言えます。
「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」
「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」とは、一粒の種籾(たねもみ)が稲穂のように万倍にも増えると言われている吉日です。
何事を始めるにも適しているとされますが、特に「仕事」、「商売」、「種まき」、「お金」に関することに「吉」であると言われます。
但し、他の凶日と重なると縁起が悪いのを倍増させるので、その場合はあまり良くないとされています。
「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」は、少ない月でも月に最低4日、多い月では月に7日もやってきます。2019年の暦では、以下の日がそれに当たります。
「天赦日(てんしゃにち)」と「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」のまとめ
結局のところ、
これは普通のカレンダーの六曜には記載されていないこと(知る人ぞ知る隠れキャラ扱いという点)がポイントです。一般的には知らない人も多いでしょう。
2019年2月だけでも2月14日(木)、26日(火)は本来「仏滅」で縁起が悪いのですが、実は「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」なので、縁起が良くなってしまう。
さらには、2019年11月の「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」は、元は全て「赤口」「先負」「仏滅」のいずれかで、全て縁起の悪い日ですからね。恐れるべし威力、スペシャルデー。
「大名日(だいみょうにち)」「受死日(じゅしび)」「寅の日(とらのひ)」などここで紹介していない用語について知りたい方は、
「引っ越しに良い日取りはいつ? 縁起と吉日カレンダー2020年版」をご覧ください。
縁起の悪い日(時間帯)に引っ越しをしなければならない時は、どうすれば?
万年青(おもと)と徳川家康、風水との三角関係
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万年青(おもと)とは、昔から有る植物ですが、徳川家康が千代田城の新築祝いで「万年青」を受け取り、その後江戸時代300年の繁栄が続いたことから、今でも繁栄の象徴とされている植物です。
その為、
ちなみに、「万年青」信仰の元祖、徳川家康は「鬼門封じ」に関心が高く、自らの死後、江戸城からみて鬼門である北東に「日光東照宮」を建てさせ、そこに埋葬するよう「遺言に書いていた」ことは有名な話です。
しかし、これらを裏で進言していたのは「天海僧正(てんかいそうじょう)」という陰陽道や風水に精通していた人物です。
この「天海僧正」という人物は、江戸の都市計画をするにあたり、徹底的に風水や陰陽道に基づき、とても「縁起の良い」都市を作ろうと、江戸のあちこちに仕掛けを施しています。
今でも残る「目黒不動」をはじめとする「江戸五色不動尊」は陰陽五行説に基づいていたりと、江戸の都市は街全体が「風水都市」と言っても過言ではないほどです。
ちなみにこの「天海僧正」、この時代にしては超人的な長生きでなんと108歳まで生きました。残した養生訓「気は長く、勤めは堅く、色うすく、食細くして、心広かれ」という言葉は非常に有名です。
話が大きく逸れてしまいましたが、万年青(おもと)と徳川家康、風水(鬼門)との関係はそんなところで繋がっているのでした。
という訳で「万年青(おもと)」は、邪気が入るため鬼門とされる方角(北東)に置いてください。
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「引っ越しに良い日と引っ越してはいけない日。2025年版吉日カレンダー」
最後に
今回ご紹介した「六曜」ですが、結論からすると、引っ越しに向いている日は、
「大安吉日」、「先勝」、他にも「先負」も午後ならOK。
仏滅や赤口は避けたいところですが、良く調べると実は「天赦日(てんしゃにち)」と「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」に重なっていることも多く、
そうなると、「思い立ったが吉日」ということで良いのではないでしょうか?
また、仏教用語には「日々是好日(「にちにちこれこうにち」又は「ひびこれこうじつ」とも読む)」、すなわち一日一日が素晴らしい日(毎日が良い日)である。という言葉があります。
仏教的な考え方では、一日一日ひいては生きている一瞬一瞬が尊く、その精神は「一期一会(いちごいちえ)」という言葉にも表れています。
このことから、
「良い日となるよう、努力することが大切だ。」
「どんな日でも大切なので、それがあなたにとって幸運な日でも不運な日でも、あるがままを受け入れよう。」
といったポジティブな考え方で毎日を送ることが大事であると教えています。
本文中でも述べたように、「仏滅」も元の意味である「物滅」とし、Reborn(再生・再出発)と考えると、引っ越しにはむしろ「仏滅」が最適とも思えてきます。
そもそも、6日ごとに「吉から凶まで」一巡するなんて、ちょっと周期早すぎませんか?と思うのは私だけでしょうか?
「六曜」が明治時代には、一度は「迷信である」として禁止されている背景から考えても、科学的根拠に乏しいものを「21世紀の現代でも」信じていていいのでしょうか?
そんな科学的根拠の乏しい迷信を信じて行動を委縮するぐらいなら、「仏滅」や「赤口」でも、『私なら、吉日に変えてみせる』ぐらいの積極的な気持ちで行動を起こすことの方が大事ではないでしょうか。
世間では、「逆境に強い会社」とは「ピンチをチャンスに変えられる」会社だと言われています。
人間個人もそうありたいものです。
私はそう思いますが、皆さんはいかがお考えでしょうか?
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「引っ越しに良い日と引っ越してはいけない日。2025年版吉日カレンダー」
についてです。
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