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さて、前回は「引っ越し時のエアコン、移設と買い替えどっちにする?注意点と買い替えのコツ」ということでお送りしました。
これで、新居で綺麗にクリーニングされたエアコンもしくは新品のエアコンで、清潔に快適に過ごせるようになったことでしょう。
しかし、新居での清潔で快適な生活に欠かせないことがもう一つあります。
それは、今回のタイトルからも分かる通り、害虫対策、中でもゴキブリ対策が重要です。
ゴキブリは、1匹見たら100匹はいると思え、とまで言われるほど生命力が強く、なんと古生代の3億4000万年前から存在していて、もし人類が滅亡しても奴らは生き残るとさえ言われています。
そんな彼らとは決して同居したくありません。(笑)
ということで、今回は「引っ越し時のバルサン。効果的な使い方のコツと危険性とは?」と題して、バルサンをはじめとする「害虫駆除剤」の効果的な使い方と、使う際の注意点、また薬剤の危険性について、説明しようと思います。
さらには、ゴキブリの特徴や習性を理解した上で、どうやったらこの戦いに終止符が打てるのかについても、お伝えします。
ちなみにバルサンとは、ゴキブリやダニ用殺虫剤として、1954年「中外製薬㈱」から発売された燻蒸式殺虫剤「バルサン錠」に端を発し、50年以上愛用されています。
その後、2004年以降は「ライオン㈱」が発売していましたが、2018年末以降は日用品大手会社「レック㈱」が製造販売権を取得し、その名もバルサン株式会社で製造しています。
今や「ググる=Google検索する」と同様に「バルサンする」と動詞形で使われるまで一般に浸透している業界の第一人者と言われるバルサンです。
また、ゴキブリに効く通常タイプのバルサンの商品パッケージには、
ゴキブリの他に、「ダニ」、「ノミ」とも書かれているため、バルサンはそれらの害虫にも効果が期待できます。
なお、効果・成分の似ている製品としてアース製薬の「アースレッド」などの他社商品がありますが、これらは一般的には「くん煙剤、くん蒸殺虫剤」といいます。
先に結論を言ってしまいます。
なぜ必要なのか詳しくは、本文を読んで確認してみて下さい。
引っ越し時のバルサン。効果的な使い方のコツ
最初に「敵を知り己を知れば百戦危うからず。」ということで、あまり知りたくないけれどゴキブリの生態から。
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特徴1:生物である以上、低温、高温に弱い。そして水、食物がなければ生きていけません。
ゴキブリの幼虫は、気温5℃の環境では3日で死んでしまいます。
その為、冬など気温の低い季節には、例えば冷蔵庫の下とか、電気の流れている場所、モーターなどがあり発熱している、暖かい場所などで暖を取り寒さをしのいでいます。
一方、高温に対しては、ゴキブリもなんだかんだいっても昆虫であるため、50度以上の熱湯には耐えられません。
そして、生物である以上、ゴキブリと言えども水と食料が無くては生きてはいけません。
まずは、これらゴキブリの餌となる「食べこぼし」や流しの三角コーナー内の生ごみは寝る前に必ずゴミ袋に入れ密閉し、餌が無い状態にしておきましょう。
水回りについては防ぎようがないので、水回り付近およびそこへ行くまでの通路には、「ゴキブリホイホイ」などの捕獲機やダミーの餌であるホウ酸団子などを仕掛け、やっつけます。
また、生物なので、食器用洗剤や油など「油と馴染みやすいもの」で、呼吸する気門(ゴキブリなど昆虫の場合、体後部側面についている小さい複数の穴)を覆ってしまうと、窒息死してしまいます。
参考:NIKKEI STYLE「ゴキブリ退治 なぜ液体洗剤が効くの?」
以上をまとめると、
人間が対ゴキブリ用に武器として使えるのは、
②50度以上の熱湯(高温)
③食器用洗剤や油(窒息)
という事が分かり、これで3つの武器(知恵)が手に入りました。
特徴2:活動が活発化し始めるのは
冬を超え、そして春を迎えると、徐々に気温も上昇し、気温が20℃を超えてくるとようやく活動を始め、25℃を超えると急激に成長してきます。
そして夏になると大繁殖してしまうので、この前に食い止めなければなりません。
ゴキブリ的には、28℃程度が最も活発に動ける適温だそうです。
特徴3:ゴキブリの痕跡を探す
ゴキブリの姿は見えないが、そこにゴキブリが潜んでいるかを判断するには、次の方法があります。
方法1:ゴキブリの卵を探す。
ゴキブリは卵から孵化するため、1cmぐらいの黒い殻(卵鞘)に入っています。
これを湿気の多い場所や暖かい場所(冷蔵庫の裏やキッチンシンクの下など)に産み付け、孵化させようとします。
もしこのような物体を見つけたら、即刻排除してしまいましょう。
また、ゴキブリの中でも、チャバネゴキブリは卵を産み付けるのではなく、卵が孵化するまで大事におなかに抱えて育てます。その為、卵鞘を抱えたチャバネゴキブリと遭遇してしまったら、これもすぐにやっつけて下さい。
方法2:ゴキブリの糞を探す。
ゴキブリの糞は非常に小さく最大でも2㎜程度で、黒や茶色の粒状をしています。この糞がキッチンの棚や、シンクの下などに有る場合は、そこに生息しているとみて間違いないです。
ゴキブリの糞は汚いので、すぐ掃除しようと思うかもしれませんが、掃除する際は、次の点に注意してください。
なお、糞を掃除しないで放っておくと、匂いで仲間を呼びよせる元になってしまうので、そうなる前に、きっちりと掃除するようにしましょう。
特徴4:ゴキブリは狭い場所と暗いところを好む
嫌な経験がある人も多いと思いますが、夜に喉が乾き台所に行って電気をパチッと付けたら、何か視界の端の方で動いた黒い物体。
基本的にゴキブリは夜行性の為、暗い環境で活発に活動します。また、その薄っぺらい体型を生かし、狭い隙間にも入り込みます。
この特徴から、まずはこのような環境の場所(冷蔵庫の裏やシンクの隙間など)に、「ゴキブリホイホイ」などの捕獲機を仕掛け、捕まえます。
特徴5:ゴキブリの侵入経路を封鎖せよ!
一戸建てなど低層階の部屋だけでなく、なぜかマンションの高層階の部屋でも、出没するゴキブリ。
どこから来るのか不思議に思ったことはないですか?
ゴキブリはそのほとんどが、外部から侵入してきます。そしてマンションの場合に、侵入経路として使われるのが、建物全体で共有している排水パイプ。
ここに目の細かいネットをするなどして完全なまでに入ってこれないようにして対策します。小さなゴキブリはたった数㎜でも隙間があれば侵入可能と言われています。
その他では換気扇や、意外と盲点なのがエアコンの排水パイプ(ドレンパイプ)。
このエアコンの排水パイプの対策としては、ホースの先端に専用の網目状キャップを付けて、ゴキブリが入れないように塞いでしまうことで侵入させない方法があります。
このキャップは、ホームセンターやDIYショップ、ネット通販などでも購入することができます。
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簡単で安価な方法としては、排水溝用のネットやストッキングを被せるという方法もあります。
以上のことから、
バルサンを使用するなら、このネットやキャップで外界との侵入口を塞ぐ対策は、合わせ技で必ずやっておきましょう。
ゴキブリ対策の基本がわかったところで、バルサンの効果的な使い方
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ここまでで、ゴキブリ対策の基本が分かったところで、本題の「バルサン(害虫駆除剤)」の使い方に話を移していきます。
新居に引越しするタイミングがバルサンするのに最適な理由
先に話をした、ゴキブリの生態などから考えると、
あなたが新居に引っ越し(入居)するタイミングは、次の点でゴキブリ退治にもってこいなのです。
①前の住人が住んでいなくて、食べ物(生ごみなど)や水が無い(水も停止手続きしているはず)状態であれば、ゴキブリが成長や繁殖できる要素はありません。
②冷蔵庫はじめ家財道具など荷物が全くない状態であれば、ゴキブリが隠れられる場所は限られてしまいます。
③入居後の色々と荷物がある状態だと、バルサンを焚く場合に、テレビや家具などをビニールで全てカバーしなければなりませんが、その必要も手間もありません。
④このような状態であれば、収納スペースやシンク下の扉などを全て開け放って、バルサンなどの燻蒸系の害虫駆除剤を使うと効果的に、隅々まで拡散させることができます。
但し、
そして可能ならば、あなたが入居する前にバルサンを2回焚いてください。
バルサンを2回焚かなければならない理由
その理由は、1回目のバルサンでほとんどは死滅すると思いますが、中には親ゴキブリが最後の力を振り絞り卵を産んで卵だけ生き残ったり、
薬剤散布前から卵があった場合は、卵は殻に包まれている(卵鞘)ため、ほとんど効果がありません。
ゴキブリは短い場合で15日(約2週間)で卵から孵化します。そのゴキブリの幼虫に対して、『1回目の実施から2週間後に』、2回目のバルサン攻撃をするのです。
これで、ほぼ全滅させることが出来ます。
もし入居前に時間が取れるようであれば、引っ越し前に先にバルサンを散布することをおすすめします。
バルサンを使う時は、部屋を密閉状態にする
バルサンを使う時は、エアコンや換気扇は作動させず、外部にくん蒸剤が漏れないように、外部との境界となる外扉や窓、サッシなどは締め、バルサンを使用する室内を可能な限り密閉状態にします。
風呂場の換気のために、風呂場の窓を開けっ放しにする習慣がある人は注意して下さい。そこからダダ漏れしていることに、バルサン後に気付くという失敗例を、たまに聞きますので...
すきま風が入るような古いアパートや古い一戸建て住宅などでは、くん蒸蒸気が漏れないように、ガムテープなどで極力目張りを実施した方がより効果的です。
バルサンなど「くん煙剤」(害虫駆除剤)は、一時的に駆除するだけの物
たまに勘違いされている方がいますが、バルサンなど「くん煙剤」(害虫駆除剤)は、それを部屋で焚いた際に、その空間などに居た害虫だけを一時的に駆除するものです。
ゴキブリ対策はバルサンだけでなく、何段階にも設置し総合的に対策する
害虫駆除及び寄せ付け(侵入)防止には、それぞれに合った方法を【多段階に】組み合わせて総合的に対策する必要がある事を覚えておいて下さい。
その為、まず外と家の中とのゴキブリの移動をさせないために、先に紹介したエアコンの排水パイプに防虫ドレンキャップやストッキングを被せたり、流しの排水溝や換気扇周りから侵入されないように、外との隙間を極力塞ぐことが、まず第一にやることです。
第二に、バルサンなどを焚き、今室内にいるゴキブリなどの害虫を全滅させます。
これで、室内には害虫は居なくなり、また外部から入ってこれない状態となりました。
そこで3つ目として、後ほど紹介する害虫忌避剤を使用し、害虫を寄せ付けないようにすると、害虫と出会うことはほぼなくなるでしょう。
そして最後にとどめ。
ここまで対策しておけば、基本的には害虫に侵入されることはほぼ防げますが、もし侵入された場合でも大丈夫なように、
第四段階として、
連鎖駆除剤と呼ばれる、成虫、幼虫、卵ともに一網打尽に出来る製品を使うと完璧です。
1匹から連鎖的に被害が拡大し、遂にはほぼ全滅させることができるようにうまく考えられています。
連鎖駆除剤にも色々な製品が出ていますが、
中でも、実際のゴキブリ駆除業者が使っている商品そのままを販売している、
業務用ゴキブリ駆除薬「ゴキちゃんグッバイ」が効果絶大です。
実際、お寿司屋さんや焼き肉店などの飲食店でも使われています。
あまりにも効く『本物の駆除剤』なので、誤飲を防ぐため小さなお子様やペットがいる家庭では厳重に注意しないと危険なぐらいです。
これを使ったら他の製品にはもう戻れなくなるでしょう。
ちなみに、
ゴキちゃんグッバイなら、自分で設置する手間は有りますが、6個入りでたったの2,090円と1/10以下の値段で対策できてしまいます。
バルサンを使用する際の注意点
基本3種類とそれぞれの特徴
バルサンのような「くん煙剤」(害虫駆除剤)には、主に3タイプあり、
「煙タイプ」、「水タイプ」、「霧(ミスト)タイプ」の3種類があって、それぞれ特徴が違うので、目的によって使い分ける必要があります。
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①効果は、「煙タイプ」>「水タイプ」>「霧(ミスト)タイプ」
②放置時間は、「煙タイプ」と「水タイプ」が2~3時間以上、「霧(ミスト)タイプ」が1時間以上
③火災報知器への反応、「霧(ミスト)タイプ」のみ反応しない(対応済み)
となっています。
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また、バルサンという商品に限って言うと、通常製品の赤缶の「バルサン」と
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強力タイプの黒缶の「バルサンプロEX」という、2グレードの商品展開となっています。
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薬剤抵抗性の強いチャバネゴキブリに対しては、強力タイプの「バルサンプロEX」でないと駆除は難しいかもしれません。
ゴキブリ、ダニ、ノミ以外のカメムシやムカデなどに効くバルサンも有る
ゴキブリ以外のカメムシやムカデ、ゲジゲジ、アリなどのその他の害虫を対象としたバルサンも発売されています。用途に応じて使い分けして下さい。
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匂い残りが嫌な場合は、匂いの少ないミストタイプを使用する
害虫駆除の効果だけ見れば、煙タイプで強力タイプの黒缶の「バルサンプロEX」が最強と言えるでしょうが、その効果の反面、使用後の匂い残りも結構あり、またしばらくの期間残ります。
さらには、使用時に服や家具などしっかりと防護しておかないと、服やベッド、ソファーなどにまで匂いが付いてしまいます。
そのような匂いがダメな人は、匂いが比較的少ない「ミストタイプ」を使用するといいでしょう。
使用する部屋のサイズの合った製品を使用する事
バルサンなどの「くん煙剤」(害虫駆除剤)には、同じ商品でも、部屋のサイズ別に、いくつかの容量違いに商品が分かれています。
主に3種類。6~8畳用、12~16畳用、18~24畳用などに分かれています。
当然、狭い部屋用は薬剤容量が少ないため価格は安く、広い部屋用は、それに合わせて薬剤容量が多くなるため、価格は高くなります。
お金をケチって、広い部屋で小さい部屋用の製品を使用しても十分薬剤が広がらず、ゴキブリ駆除効果も中途半端となってしまうので、
せっかくバルサンを焚くのであれば、お金を出しただけに見合う効果を得るためにも、必ず使用する部屋の大きさに合った容量の物を選ぶようにしましょう。
バルサン使用前の準備その1:火災報知器とガス警報機への対策
煙が出るタイプを使用する場合は、この2つ「火災報知器」と「ガス警報器」にはビニール袋などを二重にして被せ、ビニールテープや輪ゴムなどでしっかりと留め、煙に反応しないようにしておくことが重要です。
それらの対策が面倒だという方には、「火災報知器」が反応しないミストタイプ(霧タイプ)をおすすめします。
バルサン使用前の準備その2:隣近所への注意喚起
煙の出るタイプだと、ドアの隙間などから煙が漏れ、火事と勘違いし通報されかねません。このような誤解を避けるためにも、隣近所へは使用前に、断りの連絡をしておくようにします。
可能ならば、管理会社や管理人に連絡して、いつ何時頃に実施する旨を掲示板などで告知してもらうといいでしょう。
それが出来ない場合は、せめて自室のドアに「バルサン使用中、ご迷惑をお掛けします。」ぐらい書いた張り紙をしておきましょう。
使用後すぐは室内に入れません
使用後は、短い霧タイプのものでも最低1時間以上、煙や水タイプのものでは2~3時間以上経ってからでないと、室内に入れません。
なので、煙が落ち着くまで喫茶店でお茶でも飲んでいたり、ショッピングモールに行ったり、映画館で映画を見るなどして気長に待っていましょう。
所定時間経過後、室内に入ったら、効果の確認と掃除をする
さて、所定の時間が経過し、部屋に戻ってきたら、バルサンの効果を確認する時です。
部屋に入る時には、念のためマスクをして、まず開けられる窓を全て開けて十分に換気をします。しばらくそのまま1時間ぐらい換気しておきましょう。
この時は出来るだけ小さい子供は、まだ入室させないようにしてください。
さて、どのぐらいのゴキブリが死んでいるでしょうか。出来れば全く居なくて目撃しない方がいいのか悪いのか...
この時、直接素肌で残留薬剤に触ると、皮膚が弱い人は肌が荒れてしまうので、使い捨てのビニール手袋などをして作業をするようにします。
もし入居前に間に合わず、引っ越し当日もしくは後日することになった場合は?
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バルサンをする前に、パソコンや服、食器などの保護が必要
対して一般的なエアゾールタイプは約20㎛、微粒子化を図った商品でも5㎛です。
大気汚染の指標でよく言われる「PM2.5(微小粒子状物質)」が、粒子サイズ2.5㎛ですから、どの程度細かいか想像がつくでしょう。
⇒粒子が細かければ細かいほど、生体内や精密機器の内部にまで侵入します。
バルサンはダニに効くのか?
バルサンの効果の一つに、ダニ退治があるため、
ダニの住み家となりやすい、布団やベットシーツ、マットレスなどは、そのまま出した状態でバルサンを使いたいところですが、
直接肌に触れるものなので、必ず薬剤が掛からないようにカバーするか、取り外してから燻蒸するようにして下さい。
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観葉植物や小型のペット、赤ちゃんなどがいる場合
ペットや赤ちゃん、小さい子供がいるご家庭では、ペットや赤ちゃん子供が「触れたり、なめたり」するような玩具や道具についても、薬剤が掛からないように配慮が必要です。
引越しでバルサンをしないという選択。薬剤の危険性
バルサンの成分「フェノトリン」や「メトキサジアゾン」などの毒性について
「フェノトリン」とは?
「フェノトリン」とは、除虫菊の成分を化学合成した「ピレスロイド系」殺虫剤というもので、正式には「d,T-80フェノトリン」と言います。
「フェノトリン」は、害虫に作用する「神経毒剤」の一種で、神経を麻痺させ害虫を死に至らしめるものです。
微量でも即効性に優れる一方、太陽光によって分解されやすく残効性が低いため、「毒性は低い」とされています。
また、「フェノトリン」は、別名「スミスリン」という呼び名もあり、子供用のシラミ取りシャンプーなどの成分として配合されている場合や、
衣類の防虫カバーや殺虫スプレーにも良く用いられているほど、殺虫剤としてはかなりメジャーなものです。
「メトキサジアゾン」とは?
「メトキサジアゾン(オキサジアゾール系)」とは、「アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害(但し可逆的)」することで、副交感神経を興奮させる作用をもつ殺虫剤です。
なお、アセチルコリンエステラーゼの活性を「不可逆的」に阻害するもので良く知られているのが、有機リン系の殺虫剤で、アース製薬のバポナ殺虫プレートなどがあります。
近年では「フェノトリン」などのピレスロイド系殺虫成分に抵抗性を持つ個体も出現してきているため、「メトキサジアゾン」は、その補助として、ピレスロイド系殺虫成分とともに用いられるのが一般的です。
現在市販最強と謳われる黒缶「バルサンプロEX」でも「メトキサジアゾン6.2%」、「フェノトリン2%」、「d・d-T-シフェノトリン0.6%」の3つが主成分として使われています。
また、通常のバルサン赤缶「バルサンSP」では、「メトキサジアゾン4%」、「フェノトリン5%」が主成分として使われています。
同様に、アース製薬のアースレッドプロα(強力タイプ)では、「メトキサジアゾン7.0%」、「d・d-T-シフェノトリン5.0%」、「プロボクスル2.0%」の3つが主成分として使われています。
バルサン赤缶に相当するアースレッドW(通常タイプ)では、「メトキサジアゾン12.0%」、「d・d-T-シフェノトリン3.0%」が主成分として使われています。
なお、最近以下のような事故が発生しネット上で話題となっているので、バルサン使用については、その影響や危険性を真剣に考える必要があるようです。
バルサンなどのくん煙殺虫剤、使用後の室内薬剤残留量調査結果
ちょっと情報が古い(平成14年調査結果)ですが、国民生活センターが「1回使い切りタイプの殺虫剤の室内残存量を調べる」として、
「くん煙タイプ(バルサンSPジェット)」、「加熱蒸散タイプ(水ではじめるバルサン)」、「エアゾールタイプ(霧のバルサン)」などを使用し、
殺虫成分の広がり方の違い、使用後の薬剤残存量などを定量的に調査した結果が公表されているので、詳しく数値的に知りたい方は参考にされるといいでしょう。
「フェノトリン(ピレスロイド系)」は、「キンチョウジェットB」という商品(煙タイプ)に、8.3%と主な殺虫成分として配合されており、次いで「メトキサジアゾン(オキサジアゾール系)」が6.7%となっています。
一方、同じ煙タイプのバルサン(商品名バルサンSPジェット)では、メトキサジアゾンが3%、ペルメトリン(ピレスロイド系)が4%配合されています。
但し、15年近くも昔のデータなので、現状とそぐわない事も書かれています。
例えば、当時は薬局薬店でしか購入できませんでしたが、現代では2014年6月に施行された改正薬事法により、第1類、第2類医薬品に該当するものでもネット通販で購入できるようになっています。
しかし、
参考:国民生活センター「1回使い切りタイプの殺虫剤の室内残存量を調べる」
ピレスロイド系とカーバメート系、それぞれの特徴
ここまで説明してきた事から、バルサン、アースレッドなどのゴキブリ駆除に使われる殺虫成分は、
一般的に、ピレスロイド系の殺虫成分は、選択毒性と呼ばれる特定の種によく効く特性を持っています。
それゆえに、
身近な事象で例えると、人間は硫化アリルの消化酵素を持つため、玉ねぎを食べても問題ないが、その消化酵素を持たない犬や猫にとっては、玉ねぎが毒(玉ねぎ中毒)になるのと似ています。
先ほど紹介したように、
一方、
特徴は即効性があることと、残効性が短いことです。
殺虫剤について、もっと突っ込んで詳しく知りたい人には、日本家庭用殺虫剤工業会が刊行している「家庭用殺虫剤概論Ⅲ」という83ページにも及ぶ大学の教科書のような書物もあります。
もしバルサンが使えない場合はどうすればいい?
先にも話したように、バルサンは基本的に『大人の人間にとっては』毒性の低い物です。
が、しかし、大人と言えどもバルサンを焚いた燻蒸蒸気の中に、そのままとどまることはもちろん危険でしょうし、
ましてや体重の軽い乳幼児や幼児はじめ、彼らよりもっと体重の軽い犬や猫の小動物、爬虫類や昆虫、熱帯魚などの小さい生物にとっては、化学兵器レベルとなる物でしょう。
そのような毒物としての危険性を考えた場合、出来るだけバルサンは使わない方が良いのは当たり前です。
バルサンなどのくん蒸剤を使う以外に、ゴキブリを撃退する方法は無いのでしょうか。
それは、先に紹介した、
②50度以上の熱湯(高温)
③食器用洗剤や油(窒息)
という3つの方法の他に、
虫が嫌うハーブや香料を配合した、虫を遠ざける効果のある「忌避剤(きひざい)」を使用する方法もあります。
一般的な虫よけとしては、ミントやハッカ、レモングラスやセロリなど匂いの強いハーブが用いられますが、
特にゴキブリに対しては、ミントやハッカが効果が高いものとして知られ、その成分が配合された製品などが発売されています。
アース製薬から発売されている「ナチュラス アース天然ハーブのゴキブリよけ」では、ゴキブリ除け効果は、約1か月持続するそうです。
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また、油分とよく馴染み、油汚れに強力に効くことで知られている「オレンジ由来成分:D-リモネン」は、発砲スチロールを強力に溶かし溶解、再利用するために再処理工場などで使用されていますが、最近では小学校の理科の実験で用いられることもあります。
その「D-リモネン」にもゴキブリを寄せ付けない効果が期待できるということで、広洋株式会社の販売する「防虫ゴキガード」も良いかもしれません。
こちらの製品のゴキブリ除け効果は、約2か月だそうです。
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最後に
バルサンなどの害虫駆除剤の使用法、注意事項は、説明書などをよく読み、安全に使用して下さい。そうすればゴキブリを的確にやっつけて、ゴキブリとの同棲は避けられます。
もう一度、最後にまとめを書くと、
なんか、引っ越しの時にバルサンをどう使うというよりも、引っ越しとは関係ない、ゴキブリ対策の記事みたいになってしまいました。
やつらの弱点が分かると、そんなには怖がる必要が無くなった?のではないですか。
それでは、ゴキブリとの最終決戦にいざ!
業務用ゴキブリ駆除薬「ゴキちゃんグッバイ」は、6個入りでたったの2,090円です。
今回の記事は害虫駆除社「春にやるべきゴキブリ対策」を参考にさせていただきました。
さすが害虫駆除の専門会社だけあり詳しいです。
めちゃくちゃ詳しいので、怖いもの見たさで色々と知りたい方は、こちらへどうぞ。
ゴキブリ博士になれてしまうぐらいの情報量です。但し、虫や昆虫がダメな人は止めておいた方がいいと思います。
もし、ペットと一緒に引っ越しする予定がある方は、以下の記事も参考にどうぞ。
についてです。