賃貸物件に引っ越しする時、UR賃貸住宅を選ぶという選択

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前回、敷金礼金ゼロ物件のときに少し触れましたが、UR賃貸住宅の場合は、礼金ゼロで借りられることはお伝えしました。

今回は、このUR賃貸住宅について、少し掘り下げて、解説していきたいと思います。

賃貸物件に引っ越しする時、UR賃貸住宅を選ぶということ

UR賃貸住宅とはどういうもの?

UR賃貸とは、昭和30年設立の日本住宅公団を前身とする都市再生機構(UR都市機構)という独立行政法人が、公的機関の融資(公庫融資、年金融資、財形融資、地方自治体融資など)により建設された物件のことを指します。

全国で約74万戸、そのうち大都市圏に約41万戸の物件を所有しています。

但し、普通の物件のように、街の不動産屋で取り扱っているものではありません。全国各地にある「UR専門の店舗」へ行かないと、UR賃貸を借りることはできません。

近所に「UR専門の店舗」が無い場合は、少し手間ですね。

その為、知る人ぞ知る、といった賃貸物件になっています。

UR賃貸住宅の特徴

photo credit: gnrklk Wohnsiedlung Wassertorplatz, Erweiterung Block 64 via photopin (license)

一定数量の住宅が、昭和30~40年ごろ建てられた「古い」築30年以上物件で、昔で言うところの「団地(公営住宅)」形式となっています。

部屋内部は綺麗にリフォームされている場合も多いですが、基本構造が古く、5階建てでエレベーター無しとか、大規模「団地(公営住宅)」という特性から、駅近より駅から少々バスに乗っていった駅の郊外に作られている場合が多いのも特徴です。

しかし、最近では、恵比寿や中目黒などにも高層マンションを所有し、民間の最新物件にも劣らない高機能な設備の付いている物件まで様々なタイプが揃いつつあります。

中には、IKEAや無印良品などとコラボしたリノベーション住宅や、デザイナーズ物件「東雲キャナルコートCODAN」のような建物まで出ています。

参考:暮らしラク「IKEA(イケア)×UR団地リノベーション賃貸物件のモデルルームを見学。メリット・デメリットを考えてみた」

公団住宅とは言え、UR賃貸住宅は「抽選ではない」

公団住宅なので、抽選制と思いがちですが、そうではなく、民間と同じように、空きが有る物件に、申込み先着順で内覧⇒入居可能となっています。

取り敢えず、概要の説明はこれぐらいにして、

次の章から、皆さんが興味のある、UR賃貸のメリット/デメリットを見ていきましょう。

UR賃貸住宅を借りるメリット

メリットその1:初期費用が安い

上記のような駅から少し遠い、エレベーター無しなどのデメリットがある物件もありますが、UR賃貸住宅を借りる際の一番のメリットは、民間の不動産業者ではありえない、初期費用の安さが上げられます。

入居時に初期費用として掛かるのは、敷金2か月分と日割り家賃、共益費だけ。その他の礼金、不動産仲介手数料、更新料も無し。なんと保証人まで不要です。火災保険料への加入は任意です。

但し、平均月収が基準額以上(基本的には、「家賃額の4倍」の収入)があることが条件なので、ハードルは少し高く設定されている為、あまり変な人が入る可能性は少なくて安心できます。

家賃が8万円の物件に住もうと思ったら、その4倍の収入、月額32万円以上貰っている人でないと入れないわけです。

一般的には、賃貸物件を借りるときの目安が、月給の1/3までの家賃のところと言われていますので、8万円の所だと、通常の民間賃貸物件では、月収24万円前後の人が借りる場合が多いと想像できますが、それと比べるとUR賃貸住宅では、多少良いお給料をもらっていないと借りられないということになっています。

さて、この月額家賃8万円の物件で、通常の民間賃貸物件とUR賃貸住宅で初期費用の差がどれだけ出るか計算してみます。

なお、鍵の交換費用や火災保険料は同等と考え、比較対象から外します。

【民間賃貸物件の場合】

通常、敷金2か月分、礼金2か月分、不動産業者への仲介手数料1か月分、前家賃1か月分として計算すると、

月額家賃8万円×全部で6か月分=48万円が初期費用として掛かります。

【UR賃貸住宅の場合】

初期費用として掛かるのは、

敷金2か月分と日割り家賃=前家賃1か月分なので、全部で3か月分

月額家賃8万円×全部で3か月分=24万円

礼金2か月分と不動産業者への仲介手数料1か月分が不要なので、初期費用は民間で借りる場合の概ね半額に抑えることが出来ます。

この差はかなり大きいです。

メリットその2:敷金が引き継げる

一度支払った敷金は、次もUR賃貸住宅に引っ越しする際は、引き継ぐことが出来ます。

先の初期費用の安さと相まって、UR賃貸住宅間での引っ越しが容易にしやすいという点が挙げられます。

メリットその3:敷金返還が明朗会計

通常の民間賃貸物件では不明瞭な敷金返還についても、UR賃貸住宅では、原状回復負担区分が明確な基準で決まっている為、1円単位まで細かく清算してくれます。

この原状回復負担金も民間に比べて相場で半額以下(普通の使い方をしていれば、1万5千円~3万円程度)に収まる場合が多いそうです。

メリットその4:公園や図書館、集会所などのパブリックスペースが充実している

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基本、団地であるがゆえに、建物間のスペースも含め、敷地を広く使って、公園や遊び場始め、物件によっては、スーパーや病院、保育園、図書館まで揃っているところもあり結構便利です。敷地内で生活に必要な物や事が完結することも。

また、公園がほとんど付属しているので、わざわざ遠くまで出かけなくても、すぐ子供を遊ばせられる為、子育て世帯にはありがたいです。

メリットその5:時期によりキャンペーンを実施している

UR賃貸住宅では、時期によりキャンペーンを実施していて、2019年1月25日現在では、3月31日まで、

対象物件なら、最大2か月家賃不要という「フリーレント」や

対象物件なら、5年間家賃がお得になるキャンペーンを実施してしています。

メリットその6:「そのママ割」という子育て世帯にお得な割引あり

満18歳未満の子供がいるママもしくは妊娠中の方がいる家庭を対象に、

「3年間の定期借家契約」=契約から3年間の期間限定となっていますが、

その間の家賃が安く設定されています。

契約満了後には更新できず、引っ越さなければならない手間はありますが、月々の家賃が抑えられる為、子育て世帯にはありがたい制度です。

メリットその7:「子育て割」という子育て世帯にお得な割引あり

上記の制度とは異なり、世帯所得上限の制限が設定されていて、世帯所得合計が25.9万円/月以下の場合に、

子育て世帯で最大6年間、

新婚世帯で最大3年間、両方合わせて最大9年間、家賃の20%をサポートしてくれる(実質、家賃20%OFF=上限月額25,000円まで)制度もあります。

こちらは、そんなに所得は多くないけれど、子どもの多い子育て世帯には助かる制度です。

子供が多いと、食費や衣類など何かとお金掛かりますからね。

UR賃貸住宅を借りる(探す時の)デメリット

このように初期費用が非常に安く済むことから、知っている人の間では多少の不便さはあるものの意外と人気が高いのが、UR賃貸住宅です。

では、デメリットにはどのようなものがあるでしょうか?

デメリットその1:人気物件では空きが出にくい

photo credit: philip.mallis Eastland rooftop carpark, Ringwood via photopin (license)

知っている人の中では、初期費用の安さからかなりの人気で、人気物件ではなかなか空きが出ないことも。

その為、条件の良い物件では「空きが出にくいこと」が、あえて言うならデメリットでしょうか?

また、「UR賃貸住宅」を専門にやっている不動産屋(UR都市機構からの委託業者)では、人気の物件の仮申し込みを、入居者がいなくても不動産業者が行い、自社ホームページで公開し、入居者を集める手法を取っています。

その為、通常のルート=UR賃貸住宅のホームページからでは内覧の希望すら出来ないということが起きているようです。

デメリットその2:半数以上が大都市圏に集中⇒地方には少ない

最初の項目「UR賃貸住宅とはどういうもの?」の所で紹介したとおり、UR都市機構が所有している物件は、全国で約74万戸、しかしそのうち大都市圏に約41万戸、半分以上が大都市圏に集中しています。

その為、地方には少なく、物件探しが少々大変かもしれません。

また、取り扱っている店舗も必然的に少なくなるため、お住いの地域に店舗が無い場合には、最寄りの店舗まで足を運ぶ必要があり、手続きに行くだけでちょっと大変かもしれません。

例えば、広大な平野が広がる茨城県ですが、その中で取り扱い店舗はたったの2軒、「取手」と「つくば」の2か所にしかありません。

対して千葉県には、成田市、印西市の郊外の方にまで店舗があり、全店舗数は14店舗もあります。

元々が国の政策として、大規模に団地の開発などがなされた地域には、物件数もまた、それに伴い紹介する店舗も多くなりますが、そうでない地域には少ないかもしくは空白地帯が出来ているという、非常に地域格差が大きいのも特徴です。

デメリットその3:申し込みには家賃の額の4倍の月収が必要

決して、低所得者向け住宅ではなく、ある一定額以上の所得がある世帯向けのため、所得制限をクリアできないと入居できません。

先にも紹介したように、原則、家賃の額の4倍の月収があることが条件となっています。

また、所得制限をクリアできない場合は、預貯金残高が家賃のなんと100倍額必要とのこと。家賃6万円でも預貯金残高600万円です。

こちらは、どちらかというと、退職金を手にしたリタイア世代向けの措置と言えるでしょうか。

デメリットその4:物件内覧に制限あり、物件探しは長期戦

物件の内覧できる日時が限られています。

物件の内覧するために、民間の物件のように一度に何件も行うことはできません。

基本的な流れは、

①候補となる物件が有ったら、「仮申し込み」を済ませてから約1週間後に内覧出来ます。⇒

一度に複数申しこみは出来ない為、物件探しにじっくり時間が掛けられる人向けです。

②内覧可能な期間は1週間限定。しかし、営業所が水曜、日曜、祭日は休みなので、実際はこれ以外の日しか内覧できません。

③内覧可能な時間も指定され、概ね10時から12時、13時から16時の間と決まっています。

この辺りに、お役所的な、ユーザーの利便性を考えていない点が表れています。

このような事情から、希望するような物件の決定まで(何件か見て回る)には1か月ほど要す場合が普通で、長期戦を覚悟しなければなりません。

デメリットその5:公園、樹木が多い=鳥が多い

Free-Photos / Pixabay

これはメリットであり、デメリットでもあるのですが、

「団地」という特性上、各建物間の間隔は比較的広くスペースが取られ、並木道が整備されていたり、公園や遊び場、ベンチなどが設置されています。

その為、子どもを外で遊ばせたり、公園でのんびりと過ごすにはいいことから、ファミリー層やお年寄りにも人気です。

しかし、樹木が多いということはイコール鳥が多く集まる⇒ハトやカラスが多くて「糞の被害」に悩まされることも多々あります。

物件の中には、ベランダがハトの糞で一杯、「鳥よけのネット」でガードしないととても住めないという物件も。UR賃貸住宅を選ぶ際には、注意すべきポイントです。

デメリットその6:ご近所付き合いは必須

団地なので、必然的に自治会などの担当が回ってくることもあり、ご近所付き合いが苦手な方には、不向きかもしれません。

しかし、逆の捉え方をすると、現代は失われつつあるご近所付き合いを通して、新たな人間関係を構築しやすいのは、メリットとも言えます。

その為、最近では不要論まで出ている「引っ越し時のご近所への挨拶」。

これはUR賃貸住宅の場合は、必ずしておいた方が良いと言えます。

最後に

今回ご紹介したように、メリット、デメリットそれぞれがあるのは、どんな物件でも同じこと。

UR賃貸住宅の場合は、最大のメリットとも言える初期費用の安さを享受でき、

公園なども付いていて子育てしやすい環境を活用できるので、若い子育て世代には賢く利用してもらいたい物件です。

最近では、リノベーションされて、部屋の内部もきれいで、設備も自動お湯張り機能付き浴槽やエレベーターが付いている物件も増えています。

このようなことから、一定数のUR賃貸住宅ファンがいることも納得出来ます。

全国のUR賃貸住宅探しは、「UR賃貸住宅」から探すことができます。

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