photo credit: matsuyuki Paraffin heater via photopin (license)
3月に入り、少しづつ暖かくなってきました。
ご家庭によっては、エアコンだけでなく、石油ストーブ(または石油ファンヒーター:本記事内ではこれ以降、石油ファンヒーターも含めて便宜上「石油ストーブ」という言い方にします。ご了承下さい。)を使っているお家もあるかと思います。
そろそろ石油ストーブを仕舞おうかなという3月、4月、5月に、引っ越しする場合は、石油ストーブも『引っ越し前準備』をしなくてはいけません。
今回は、石油ストーブの引っ越し準備についてお伝えします。
なぜ石油ストーブの「引っ越し準備」が必要なのか?
別に火がついていない状態なら、そのまま運んでもらえるんじゃないのと思うかもしれませんが、そうではありません。
引っ越しをするに当たって、引越業者と契約を結ぶ時に、「標準引越運送約款(やっかん)」というルールに基づき契約しているから、そのままではダメなんです。
「標準引越運送約款(やっかん)」の中には、引っ越し運送の引受けを拒絶できるものとして、現金や貴金属などと共に、「火薬類その他の危険品」が記載されているからです。
「標準引越運送約款(やっかん)」によると、
(引受拒絶)第四条
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
一 現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャッシュカード、印鑑等荷送人において携帯することのできる貴重品
二 火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの
三 動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
四 申込者が第八条第一項の規定によるその種類及び性質の申告をせず、又は同条第二項の規定による点検の同意を与えないもの
とあります。
ここで重要なのは、
石油ストーブって危険品なの?と思うかもしれませんが、石油ストーブ本体ではなく、燃料の灯油が危険品と判断されてしまうのです。
もし、トラックでの輸送中に、灯油の入ったままの石油ストーブから灯油が漏れ、トラック内に灯油の蒸気が充満したり、こぼれた灯油に引火しやすい状況になっていたら、大変です。
そのようなことから、
石油ストーブの引っ越し前準備の手順
この項では、具体的に、石油ストーブを引っ越し業者に運んでもらえる状態にするまでを順を追って説明します。
燃料タンク内を空にする

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よっぽど古いタイプの石油ストーブ以外、現在主流となっている石油ストーブの場合、
石油ストーブに燃料を供給する燃料タンクが取り外せるようになっていて、その取り外した燃料タンクにポリタンクなどから灯油を入れて、また石油ストーブ本体に取り付けるような形式になっていることがほとんどです。
その為、引っ越し前日までに、灯油が使い切れないような場合は、
通常時に燃料を補充する時と同様、各製品の取り扱いに従って燃料タンクを取り外し、通常の灯油を補充する時とは逆に、灯油ポンプなどを使い燃料タンクからポリタンクや灯油缶に、灯油を戻します。
そして、燃料タンク内の灯油を空にします。
石油ストーブを空焚きする
先ほど、燃料タンクからは燃料の灯油を抜き取り、空にしました。
しかし、まだ灯油は残っています。それは、石油ストーブ内部の燃料受け口や内部の芯の部分にあります。
この石油ストーブ内部に残っている灯油も使い切らなくてはいけません。
その為、『石油ストーブを空焚きする』必要があります。
『石油ストーブを空焚きする』方法については、各製品の取扱説明書に従って行うようにして下さい。
石油ストーブの引っ越しに適した梱包をする

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石油ストーブを空焚きしたことで、一応は運んでもらえる状態にはなりましたが、これだけではまだ不十分です。
まだ内部に多少残っていることもあるので、燃料タンクと石油ストーブ本体との接続点である「燃料注入口(給油口)」を塞ぎます。
方法は、ボロ布もしくはキッチンペーパーなどの灯油で濡れても破れにくい素材の物を「燃料注入口(給油口)」に詰めて、栓をします。新聞紙やトイレットペーパーなど破けやすいものだと、再度使う時に取り除きづらいので、避けましょう。
「燃料注入口(給油口)」に栓をしたら、大きめのゴミ袋(45L~90L)を2~3枚重ねた中に石油ストーブ本体を入れて全体を包み、万が一灯油がこぼれても、ゴミ袋の中だけで被害が収まるようにしておきます。
あと、点火するのに電池を使うタイプの場合は、乾電池を外しておくとより安全です。
ここまで梱包したら、後はダンボールに入れれば、輸送準備完了です。
石油ストーブの引っ越し準備、結構面倒なんですけど、省略するとどうなりますか?
石油ストーブ内に灯油が入ったまま輸送すると、どうなる?
冒頭で話をした「標準引越運送約款(やっかん)」には、危険物は荷物の引受けを拒絶できるとあり、またそれはあなたの申告に基づいて判断されます。
「標準引越運送約款(やっかん)」によると、
(荷物の種類及び性質の確認)第八条
当店は、荷物を受け取る時に、第四条第二項各号に掲げる荷物、貴重品
…中略…
等運送上特段の注意を要するものの有無並びにその種類及び性質を申告することを荷送人に求めます。
とあります。
もし、灯油が入っているのに入っていませんと「虚偽の申告」をして、その結果、輸送中に、灯油漏れや引火による火災が起こった場合は、当然ですが引っ越し保険の補償対象外となるのはもちろんのこと、あなたに対して損害賠償請求される可能性すらあるのです。
また、燃料の灯油が漏れ出し、あなたの他の引っ越し荷物を汚してしまったり、引っ越し業者のトラックの荷台に油染みを作ってしまった場合、この場合も当然保証されません。
以上のようなことから、あなたにとって何も良いことはないので、面倒くさがらず、しっかりと輸送準備をして、きちんと申告するようにしましょう。
余った灯油はどうしたらいいの?処分方法など

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どうしても使い切れず、引っ越し前に灯油が余ってしまった場合、
その為、
なお、灯油はガソリンなどと共に、揮発性の高い可燃性液体で危険物扱いになっています。トイレや下水に流すと、下水管内部で揮発し引火すると爆発する危険や、水質汚染を引き起こすこともあります。
場合によっては、あなたが損害賠償で訴えられる可能性もあります。
また、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称「廃棄物処理法」)」による廃棄物の不法投棄に該当し、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科せられてしまいます。
石油ストーブ引っ越し後は、3か月以内に動作確認する

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石油ストーブ自体は、多少の振動では故障しないようになっています。その為、落としたりしなければ、引っ越し輸送ぐらいでは問題ありません。
しかし、
なぜなら、
石油ストーブは灯油も抜いてしまっていて、特に暖かくなる春先(3月4月)に引っ越しすると、そのまま新居でもしまい込んで、次使う寒くなる時期(10月11月)まで半年ぐらい使わずそのままとなってしまう可能性が非常に高い製品です。
半年後に使ってみたら、壊れて使えなかったと引っ越し業者に文句を言っても、補償対象期間の3か月を過ぎているので、無効となってしまいます。
引っ越しの為に灯油も抜いて石油ストーブを仕舞う準備が終わっているのに、再び同じ作業をするのは非常に面倒ですが、きちんと動作確認してから仕舞うようにしましょう。
最後に
石油ストーブの引っ越し準備、色々と手順を踏む必要があり、結構面倒かもしれません。
きちんと事前準備をして、トラブルがないように引っ越ししてもらって下さい。
についてです。
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