「選挙と引っ越し」。新住所に転入後3か月は投票出来ないって本当?

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前回は、一人暮らしの生活費について細かくみてみました。あなたの1か月の生活費の使い方は妥当でしたでしょうか?

一人暮らしの生活費について詳しく知りたい方は、別記事「一人暮らしの生活費はいくら?家賃込の生活費を月10万円に抑える方法も大公開」をご覧ください。

さて今回は、選挙と引っ越しについてです。

近年2016年の改正公職選挙法の施行により、18歳から選挙権が与えられ、大学への進学や就職などで新生活を始める18歳の方も投票に行けるようになりました。

これは、1950年の公職選挙法制定から、60年以上経ってからのことで、かなり画期的なことです。

アメリカやイギリス、フランスなどの先進諸国はじめ、世界の国のほとんど9割以上では、ずいぶん昔から18歳以上に選挙権が与えられていたので、日本もようやく世界標準並みになったという事でしょう。

ところで、巷ではよく、「引越し後3か月は選挙で投票できない。」という噂を耳にしますが、それは果たして本当なのでしょうか?

今回は、『「選挙と引っ越し。」新住所に転入後3か月は投票出来ないって本当?』と題してこの辺の真実に迫ります。

また、実は17歳でも投票できる人がいる不思議や不在者投票の仕組みなどについても話をします。

あなたの1票が政治を動かす可能性を秘めています。有権者の方は、引っ越しした時の選挙の投票についてよく知っておいて下さい。

日本の政治を年寄りばかりに任せてはおけません。

進学や就職などで地元(実家)を離れ、一人暮らしを始めたとき

新住所に転入後3か月は選挙で投票出来ないって本当?の真実。

進学や就職などで地元(実家)を離れ、一人暮らしを始めたとき、通常新しい住所地の市区町村の役所に転入届を出す(住所変更する)ことになると思います。

この住所変更をしておかないと、何かと旧住所に郵便物が届いてしまったり、免許の書き換えも旧住所地でしなければならないなど、色々と不都合が生じてしまいます。

しかし、あまり知られていないことに、

転入届を提出してから3か月間を過ぎなければ、転入先(新住所地)の市区町村の選挙人名簿へは登録されない。

という事実があります。

だったら、引っ越しして間もなく(3か月間)は、選挙投票にまったく行けないのかというとそれも違います。
転居前の住所で、選挙人名簿に登録されている(=旧住所地で3か月を超えて居住、かつ18歳に達している)場合は、旧住所地の地元(実家)の方で、選挙投票ができます。

⇒投票所入場券も実家に送られてくるはずです。

また、以下の点にも注意が必要です。よく考えれば当たり前の事なんですが。

県知事や県議会議員、市長、市議会議員などの「地方選挙」では、都道府県外、市区町村外に転出してしまうと、そこの住所(県や市)の住人ではなくなっているので、もちろん投票は出来ません。

但し、タイミング的に引っ越す前が期日前投票期間に該当する場合は、転出届を出す前(=住民である内)であれば投票することは可能です。

選挙人名簿の登録はいつ行われているの?

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定期的な選挙人名簿の登録は、3月、6月、9月、12月の年4回、毎回該当月の1日に行われています。1日が休日の場合は、1日もしくは翌開庁日となっています。

その他、選挙の公示日(告示日)の前日にも、選挙人名簿の登録は行われています。

この選挙人名簿の登録が行われる時点で、その市区町村の住民基本台帳に3か月以上記録されていて、かつ満18歳以上の日本国民が、選挙人名簿に登録されます。

注意しなければならないのは、

旧住所を転出(=転出届を提出)後、新住所で転入届を出すまでに1か月以上遅れた場合や、3か月以内の短期間のうちに連続して引っ越しした場合は、
どの市区町村の選挙人名簿にも登録されることが無く、全く投票できない事態が起こりえるという事です。
なお、旧住所の選挙人名簿は、転出から4か月が経過すると、名簿からの登録が削除されます。

「いつ」の時点で満18歳の人が、選挙で投票できるの?

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選挙権の有る無しは、満18歳が基準になっています。

では、いつの時点で満18歳になっていればいいのでしょうか?

事前の準備をする関係で前日、それとも選挙日当日。

いやいや違います。

正解は、

投票日の翌日(次の日)が18歳の誕生日の人まで該当するのです。

それはなぜでしょう?

「年齢計算二関スル法律」と「民法143条(暦による期間の計算)」では、

「誕生日の前日の終了(24時)=午後12時をもって年齢が加算」されることになっているため、

年を取るのは実際の誕生日の前日午後12時となります。

ですから、

中には、実際の誕生日の前の日が選挙の投票日(投票日の午後12時に満18歳になる為)で、自分ではまだ17歳と思っている人も投票できるという事態が起こり得てしまうのです。

また、18歳から選挙に行って投票する事が出来ますが、

参議院議員選挙は、6月下旬から7月頃に行われることが通例です。

しかし、選挙人名簿に載る為の条件、3か月以上居住していることを勘案すると、逆算して3月下旬以前⇒2月から3月中旬ごろまでに、新しい住所に引っ越して、転入届を提出済みである必要が出てきます。

ところが、春は進学や就職などで引っ越しをする18歳の若者も多いですが、現実問題その大半が引っ越しするのは、3月下旬~4月初旬にかけてとなります。

その為、引っ越し後すぐ転入届を提出しても、参議院議員選挙までに、新住所地での3か月以上居住の条件を満たせず、かと言って選挙の為だけに実家に帰るわけにもいかず、選挙での投票を諦めている18歳の若者も多いのです。

そのような場合、次に紹介する不在者投票制度を知っておくと投票が可能となり、あなたの1票が無駄にならないので、必ず覚えておきましょう。

選挙における不在者投票制度について

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では転入届を出してから3か月に満たない方は、旧住所にわざわざ行かなければ投票できないのでしょうか?

隣の町とか近ければそれも良いかもしれませんが、遠く離れている場合には、そうもいきません。

特に大学の進学などで地方から東京などに引越ししてきている場合は、選挙の為だけに、実家のある田舎まで帰るのは現実的ではありません。

また、実は親元を離れ一人暮らしをしている大学生の6割以上が、「住民票を移していない」という現実もあるのです。

そのような場合に使えるのが、不在者投票制度です。

不在者投票制度の仕組みを説明すると、

(1).有権者(A)は、住民票の有る(実家などの住所地を管轄する)選挙管理委員会(B)に投票用紙を請求します。

(2).住民票の有る(実家などの住所地を管轄する)選挙管理委員会(B)から送られてきた投票用紙を受け取った有権者(A)は、投票用紙を持参して、今住んでいる自治体の投票所(C)に行き、投票を行います。

(3).今住んでいる自治体の選挙管理委員会(投票所:C)は、有権者の住民票の有る(実家などの住所地を管轄する)選挙管理委員会(B)に、記入済み投票用紙を郵送することで完結します。

図解すると、

という感じの流れになります。

なお、投票用紙などの必要書類は、原則郵送で請求することになりますが、自治体によっては郵送せずWeb上で請求が完了する場合もあります。

選挙では投票所入場券を持っていないと投票できないの?

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投票日が近いのに、選挙はがきが届いていない。

理由には、先に紹介した新住所地に転入してから3か月を超えて住んでいない(=選挙人名簿に登録されていないのでそもそも送られてくるはずがない)ということが真っ先に考えられますが、

自分の場合は既に、転入してから3か月以上は経過している。そんな時に、

他の原因として考えられるのは、アパートやマンションの部屋番号が無かったり間違っていて、宛先不明で配達されずに郵便局に差し戻されてしまっている場合です。

ではこのような、明らかに選挙投票の資格はあるはずなのに、何かの手違いで、選挙はがき(投票所入場券)を持っていない場合は、

投票所に入れてもらえないのでしょうか?

投票所に行って、本人確認及び選挙人名簿で登録されていることが確認できた場合は、選挙はがき(投票所入場券)を持っていなくても、投票することが出来ます。

海外に引っ越しした場合、選挙で投票はできないの?

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中には、高校卒業後、海外の大学に留学し、遠く外国まで引っ越ししてしまう18歳もいることでしょう。

そのような時は、「在外投票」という制度を利用し、在外公館(大使館や総領事館)で在外選挙人証の交付を受けた場合などは、

国政選挙(衆議院議員選挙と参議院議員選挙)の2つは投票が可能となります。

また、海外からの「在外投票」には、『海外滞在3か月を超えている』という国内の場合のような制限はないので、

新しく住むことになった国の現地在外公館へ、在留届(=海外での住民登録のような物)を出すタイミングと一緒に「在外選挙人証の交付」申請を行っておくといいでしょう。

なお、在留届を提出していないと、その国に「あなたは住んでいない」ことになってしまい、万が一の場合に危険情報が得られないばかりか、政情が急変し緊急退避命令が出た場合も救出人数の対象にカウントされないので、必ず提出しておくようにして下さい。

一人暮らしが初めてではない場合

一人暮らしにも慣れ、何度か転居を繰り返している場合も、選挙人名簿の登録に関しては、同様です。

転入届を提出してから3か月間を過ぎなければ、転入先(新住所地)の市区町村の選挙人名簿へは登録されない。

しかし、ここが混乱の元なのですが、

あなたが旧住所地でも、一人暮らしもしくは世帯主となっていた場合、次の引越しの時に郵便局に郵便物の転送届を出していると、きちんと新住所地に投票所入場券が転送されてきます。

すると、「あっ、投票できるじゃん。」と思いますが、投票できるのは、旧住所地の方でなんです。

新住所地で投票したい場合は、先に紹介した「不在者投票制度の項」を参考に手続きを進めて下さい。

最後に

いかがでしたでしょうか?選挙と引っ越しとの関係。

最後にポイントをもう一度まとめると、

・選挙のあるときは、該当住所地に3か月以上住んでいることが投票可能の条件。
・旧住所地での選挙権が有る場合は、不在者投票制度で、投票用紙などを請求すれば、新住所地でも投票は出来る。
・3か月未満の短期間で転々と引っ越しを続けていると、選挙権が得られない。

以上です。

では、また次回。

初めて一人暮らしを始めるときに、「マストで購入した方が良い家具家電」、「無くても困らない家具家電」などを、種類別に分けて紹介し、

あなたが一人暮らしを始めるときに、家具家電購入の必要な費用を把握するのに役立ててもらおうと思います。

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