映画「引っ越し大名!」と原作「引っ越し大名三千里」に学ぶ引っ越しのコツ

引っ越しの準備と計画
この記事は約21分で読めます。

映画「引っ越し大名!」が2019年8月30日より全国の映画館で公開され始めました。

私は、原作本「引っ越し大名三千里」、映画「引っ越し大名!」どちらとも見ましたが、このお話から得られる、

現代の引っ越しにも通じる『引っ越しのコツ』及び『引っ越しの極意』について、今回は、お伝えしようと思います。

きっと、あなたの引っ越しにも役に立つはずです。

原作本、映画ともに、まだご覧になっていない人にとっては、完全にネタバレとなってしまうので、「ネタバレは勘弁!」という方は、それぞれをご覧になってからか、もしくは、まだ見てないけど、へぇ~そんな内容なんだ、面白そうだなぁ見てみるかと思える場合にのみ、今回の記事をお読みください。

今回の記事に出てくる主な登場人物の紹介

無理やり引っ越し奉行を押し付けられた、カタツムリこと書庫番の「片桐春之介」です。

武闘派の御刀番「鷹村源右衛門」とはワシの事じゃ!文句あるか~

前任の引っ越し奉行の娘「於蘭(おらん)」

拙者は、勘定奉行の中西でござる。

銭や銭や!金貸し商人「川北屋」の主人儀兵衛

廻船問屋の和泉屋の主人

拙者は、留守居役「仲田 小兵衛」なり。

寺社奉行支配吟味方改め役の「山里一朗太」

贅沢三昧は良いのう~。高給藩士「小林彦太郎」

引っ越しの条件を明確にする

映画「引っ越し大名!」及び原作となる「引っ越し大名三千里」は、

「引っ越し大名」の異名をもち、その生涯で7回も国替え(=藩丸ごとの引っ越し)をさせられた実在の人物、藩主:松平直矩(まつだいら なおのり)の話を元に描かれています。

今回の国替えは、

姫路藩から豊後日田藩(現在の兵庫県姫路市から大分県日田市)へ。その移動距離は、約600㎞。

引っ越し開始までに残された準備期間は、たったの2か月。

移動する人数は、藩士、その家族合わせて総勢約3000人。(小説では約3000人、映画では約10000人に設定されています。)

と引っ越しの規模も大きいものとなります。

引っ越し経験者の知恵を借りる

作品中では、以前に度重なる国替え(引っ越し)を担当した「板倉 重蔵(いたくら じゅうぞう)」氏に最初は任せればいいと考えていましたが、「板倉 重蔵」は既に他界。

困難な国替えは、藩の命運、財政をも左右する重大事。

失敗すれば、それこそ切腹もの。

頼れる人物が藩内に居ないこと。またみんな失敗を恐れ自ら手を挙げるものはいません。

そこで急遽、本からの知識が豊富であろうという事で、書庫番のカタツムリこと「片桐春之介(かたぎり はるのすけ)」に白羽の矢が立てられます。

しかし当の書庫番「片桐春之介」も色々な本からの知識は有るものの、藩の引っ越しの実際がどうであるか、『引っ越しとは何をするのか』すら知りません。

そこで、前任の担当者「板倉 重蔵」の娘、「於蘭(おらん)」のところに足を運びました。

春之介

とりあえず、前任者のところに行けば、何かわかるだろう。

引っ越しの手順を知る

「於蘭(おらん)」のところへ行った春之介。

何か引っ越しの手順書のようなものは残っていませんか?

と聞くも、そのようなものは残していなかった「於蘭」の父、「板倉 重蔵」。

しかし、父の引っ越し準備の手伝いをしたり、苦労話を聞いて色々と知っている「於蘭」。

それでは、私がやるべきことを書き出してみましょう。

と、藩の国替えで、やるべき事をざっと書き出します。

1.郷村高帳作成

⇒各村での年貢の取れ高。幕府への提出並びに入れ替えで姫路藩に入る藩(福島本多家)への引継ぎ資料

2.城絵地図の仕立て

⇒城の案内図。武器の保管場所、台所や便所の場所、部屋数などを記した、現代で言う「物件の間取り表」。これも引き継ぎ資料の一つ。

3.留守居役打ち合わせ

⇒留守居役とは、他の藩との折衝役や調整役。そして幕府の動向を見極める「藩内の外交担当もしくはスパイ役」といったところです。

留守居役の「仲田 小兵衛」とは、拙者のこと。また後ほどお目に掛かろうぞ。

4.引っ越し人足の確保

⇒引っ越しの運搬や片付けを実際にする「中間(ちゅうげん)」や雇われ人足(労働者)、すなわち引っ越し業者の手配です。

また、藩士各個人でそれぞれが勝手に雇うと、費用が高くなるので、

藩士全員分を一括で手配(大口注文)することで値引きをしてもらうこともポイントです。現代でも大企業などが引っ越し業者と「法人契約」し、各個人の引っ越し単価を抑えているのは、当たり前の方法です。

その為に、契約できない個人客が引っ越し難民になって困っているのですが...

5.家中女人惣人高(かちゅう・にょにん・そうとだか)帳面作成

6.城明け渡し

7.引っ越し先下見

8.道中決定

9.荷物運搬

10.入城

以上のように、

引っ越し全体の段取りを掴むことは、引っ越し経験のない初めて引っ越しをする方にとっては非常に大事です。

引っ越し全体の流れや段取りについては、当サイト別記事『引っ越しの準備開始から完了までを完全網羅。【引越しやることリスト】』でご確認下さい。

勘定方(財務担当)の協力を得る

藩のお金の動きを一切合切把握しているのは、勘定方(かんじょうがた)と呼ばれる、現代で言う財務(経理)担当の部署。

そこへまずは行き、お金を貸してくれそうな商人の目録(一覧)を作ってもらうように依頼します。

ついでに、前回15年前の国替えで掛かった費用の記録(帳簿)を見せてもらいますが、そこにはお金の動きのみで、実際の作業をどこの誰に頼んだかまでは、記されていませんでした。

そして、春之介は、勘定方から、

「引っ越しを差配する者により、費用は大きく変わる。腕の見せ所だぞ。」

と言われて、胃が痛くなりそうです。

引っ越し費用の捻出方法

いつの時代も一緒ですが、引っ越しするにはお金が掛かります。

単身(一人暮らし)の近距離引越しならばまだしも、家族連れでの長距離引越しともなると、費用は数十万円になることもしばしばです。

それが、藩士全員(約3000人)による国替え、特に遠方(中国地方の姫路から九州大分の日田)ともなると、それこそ金額は膨大な額に。

引っ越し荷物を運ぶ人足(労働者)を雇うのにもお金が掛かるし、道中での食事宿泊費、

さらには海を渡る為、廻船問屋(船会社)を利用するための費用などなど。

必要な費用は、ざっと見積もって二万両。

物語の時代背景が江戸時代前期なので、現在の価値に換算すると、金1両が約10万円に相当するため、約20億円(映画では15億円と言っていますが。)になります。

げげっ!!!引っ越しにそんなお金掛かるの!

参考文献:日本銀行金融研究所 貨幣博物館「お金の歴史に関するFAQ-江戸時代の一両の現在価値はどのくらいですか?」

しかし藩の金蔵に残っているお金は、3千両(=約3億円)しかありません。

足りないのは、約1万7000両にもなります。

どこかからお金を借りなくては、引っ越しすらままなりません。

さて、どうするか。

商人からお金を借りるのです。

相手に舐められないようにするためには相場を知り、相見積もりをして、引っ越し費用の値下げを競わせる

引っ越し費用を借りるために、前回15年前の引っ越しの時にお金を借りたことのある商人「川北屋」へ向かった春之介。

早速、店の中で主人の儀兵衛と引っ越し費用の相談を始めます。

春之介

「前回の国替えの際の藩の人数は3156人。運搬費用はしめて一万両ほど。今回の引越しの規模は約半分。よって値段も半分の五千両でお願いしたい。」

と、春之介は言います。

しかし、「川北屋」の主人儀兵衛は、七千両の金額を提示し、こう言いました。

川北屋主人

「今ではものの値段も上がりました。五千両では到底無理でございます。先代はずいぶん値引きしていたようですが、なにぶん最近の景気の悪さときたらどうしようもなく...。私らの代ではしっかりと商売をやらせて頂きたいのですよ。」

こう言われ、春之介は、この日は早々に退却したのでした。

その夜、鷹村と会って酒を飲みながら、鷹村は春之介に

鷹村

「お前が舐められているのだ。足元を見られているんだよ。どうせ川北屋だけが頼り、なんて顔で行ったんだろう?」

と言い、春之介のやり方をすっかり見透かしてしまいました。

さらに鷹村は、

鷹村

「世の中にはな、こっちの力をはっきり見せないと対等に話さない者もいるのだ。」

とも言いました。

次の日、春之介は今度は鷹村と一緒に、再び川北屋を訪ねました。

ここからは、春之介、鷹村、川北屋主人3人のやり取りを見てみましょう。

鷹村

前の引っ越しが五千両だったものが、急に七千両になるものか。あのときも今も蕎麦の値段は八文で変わりないだろう。引っ越しの費用だけが上がるものか。

川北屋主人

しかし物の値段は同じでも、人を雇う費用は上がっているのです。なにせ引っ越しで荷物を運ぶのは人足ゆえ...

鷹村

なるほど、そこまで言うか。ならば今から人足どもに聞き、給金がどう変わったか聞いてこよう。お前の言い分なら、昔五十文だったものが今は七十文で働いている計算であろう。もしそうでなければ、どうなるか分かっているだろうな。

川北屋主人

お、お待ちください!どうでしょう。ここは鷹村様にわざわざ足をお運び頂いたということで、お値段を六千両に...

鷹村

六千両とは虫がいい。この仕事ひとつで三年は食うに困らぬだろう。ましてや長年、領内で商売の便宜を図ってきた藩に恩の一つも返さぬとは...

川北屋主人

で、ではいったいどうすればよいのです...

鷹村

決まっておろう。元の通りの五千両でやれ。

川北屋主人

そんな無茶な...

今まで黙って成り行きを見ていた春之介が、ここで突然、

春之介

お待ちください。五千両ではだめです。四千五百両でやってもらいましょう。

川北屋主人

え?え~!

鷹村

何だと?

川北屋主人と鷹村が驚きの声を上げる中、さらに春之介は続けます。

春之介

引っ越しは二月です。諸方で聞いたところ、この季節はいわゆる二八の月といって商いが枯れる時期だそうです。つまり人が余っているので、雇う賃金も安くて済むということ。加古郡の秋田屋で見積もってもらったところ、代金は四千六百両。印南郡の臼井屋では四千七百両。これで十分、利が出るそうです。これらの商人に対抗しようと思えば、四千五百両にはしてもらわないと割に合いませぬな。

そして最終的には、川北屋に四千五百両でやってもらう事に決まりました。

帰り道、春之介と鷹村は

春之介

やはり相場というものを知らぬと交渉はできませんからね。他の商人と話してみると、新規の商いだということでかなり値引いてもくれました。

鷹村

お主、その割安な値段を川北屋にぶつけたのか?

春之介

それでも川北屋はかなり得をするのです。閑古鳥の鳴く季節に、人足を遊ばせずに済むのですからね。

鷹村

なるほどなぁ

春之介

城の書物によると、これを相見積もりと呼ぶそうです。やってみたのは初めてですが、案外うまくいきました。

現代の引っ越しにおいてもそうですが、引越業者の最初の一声(提示料金)で決めてしまってはダメです。

引越業者の方でも、ここから客との値下げ交渉(攻防)が始まることは当初から織り込み済みなのです。

よって、あなたが相場料金を知らず、最初の言い値で、素直に契約してしまうとその時点であなたの完全なる負けなのです。

あなたが引っ越ししたいと考えている時期(日取り)、荷物量、移動距離での相場料金がいくらぐらいかは、必ず把握しておきましょう。
実際見積もりしてもらった他社の見積もり表があれば、いうことはありません。

映画「引っ越し大名」流!リストラ術

藩の規模、石高は15万石から7万石に減らされた。

作中の設定では、国替えと共に、引っ越し先の藩の規模は姫路藩15万石に対して、豊後日田藩は、7万石と約半分まで減らされてしまいます。

これが何を意味しているかというと、江戸時代の「石高=お米の収穫高」とは、そっくり藩の経済規模を表しています。

すなわち、現代に話を置き換えると、地方自治体の税収や規模が半分にまで減らされてしまうのと同じことです。

すると、当然その税収で賄える人員(職員)の数は限られてしまう為、余剰人員となる人数をリストラしなければ、赤字経営になってしまいます。

そのため、引っ越し先の日田で、新しい事業を興さなければならないだろう。例えばそれには、播磨の酒を日田に船で運んで売ればよい、とか。

引っ越し奉行の春之介、勘定奉行の中西はじめ、江戸の留守居役「仲田 小兵衛」らと共に、あれこれの対応策を打ち出していくのです。

藩の存続を掛け、身分の高い人の俸禄(給料)削減を提案

次席家老「藤原」の元を訪れた春之介。

春之介

「身分の高い方には、禄高を下げて頂きたいのです。大きな屋敷を構え、多くの下男下女を養うよりも、小さな家に移り住み、藩士の多くを残したほうが藩のためでございます。」

江戸の武家屋敷に一部藩士の異動(配置転換)を提案

普段は江戸にいて、幕府の動向を探ったり、他藩との調整を行っている留守居役「仲田 小兵衛」。

留守居役「仲田 小兵衛」

国元の姫路で、引越し準備に奮闘している「引っ越し奉行:春之介」という者がおるらしいな。一度どんな奴か顔でも拝みに行ってみるか?

国元で引っ越し費用を半分にするべく奮闘している「引っ越し奉行:春之介」のうわさを聞きつけ、わざわざ姫路まで帰ってきました。

その仲田から、今回の減封では石高は半分に減らされるのにも関わらず、江戸の屋敷の大きさは、今とそんなに変わらず、小さくされることはないという情報を聞きます。

そこで、

今まで江戸の屋敷で下男下女を雇って家事や炊事などの雑用をやらせていたのを、藩士の妻女がすることでコストを抑えられ、江戸屋敷ではさらに追加で300人ほど収容することが可能となります。⇒『外注作業ではなく内製化。』

しかも海を越えて日田に行くよりも、江戸に行く方が費用が安くつき、一石二鳥です。

ところが、留守居役「小兵衛」が考えていたのは、これだけではありませんでした。

なんと、この先何度か転封(国替え)させられることも見越して、江戸に藩士を集めておけば、実際に国元で引っ越しさせられる人数を減らすことが出来、結果費用を抑えることが可能なことまで考えを巡らせていました。

留守居役「仲田 小兵衛」

何度も引っ越しに耐えられるように備えるのが肝要じゃ。

このような策を取る事で、リストラしなければならない人数をさらに減らすことに成功しました。

リストラ対象者への言い渡し

様々な方策を考えたり努力することで当初の人数よりは大分減らすことが出来たものの、最終的に、藩士500人ほどに帰農(もしくはリストラ)を言い渡さなければなりません。

最初に言い渡したのは、寺社奉行支配吟味方改め役の山里一朗太です。

帰農(=百姓になること)を言い渡した途端、

山里一朗太

「藩を追われるだけならまだしも、身分を落とせとはどういうことか!」

と怒りを買ってしまいました。やはり武士には武士の誇りがあるのでしょう。

そこで春之介は、丁寧に事の理由を説明し始めます。

春之介

「それは確かな暮らしをするためです。貴殿が再び我が藩に仕官されるまで、しっかりと生き延びて頂かねばなりませぬ。」
「何もずっと田畑を耕してくれとは申しません。江戸留守居役の仲田小兵衛殿の読みによれば、ほとぼりが冷めたあと、我が藩は再び加増されるようです。そのときこそ再び仕官していただきたい。こたびの措置は、いわばいっとき武士を休むだけのことです。」

状況は理解できた。しかし、

山里一朗太

「なぜわしが?」

と納得できない山里に対し、春之介は、

春之介

「姫路に残る者の中には優秀な人材がいなければならぬのです。働きの悪い者ばかりでは早晩、田畑も枯れてしまいましょう。そうなると、暮らしも立ちません。皆をまとめ、田畑を耕すにも工夫をできる者が必要なのです。また、藩の墓を守り、武具の手入れもして頂かねばなりません。山里殿を信用しておるのです。」

と言うと、山里は一つ頷き、席を立って部屋から出ていきました。

その後、最後の500人目への言い渡しが終わるまでには、丸二日掛かりました。

ある者は怒り、ある者はあきらめたように何も言わない。

春之介

絶望した者の無言のほうが罵倒されるよりもこたえる。人の人生をへし折るとはいうのはこんなにも辛いことなのか。

ここでの教訓は、

リストラするにしても、相手の為を考え、誠意を尽くして対応する。そして相手の痛みを知る。

記憶に残って無いぐらい大事にしていない物は捨てる

引っ越し荷物整理(断捨離)の極意ともいえるシーンがこの物語には出てきます。

皆さんこの部分は、お見逃しなく。

春之介より上役の小林彦太郎の家に、不用品処分を促すために行った時の事。

俸禄をたくさんもらっている(高給取り)藩士「小林彦太郎」の家には、伊万里焼の皿や鎧や刀、掛け軸や豪華なたんすなども並び、高級品をコレクションしているようです。

引っ越し奉行である「春之介」の不用品処分の協力のお願いに対し、

高給藩士「小林彦太郎」

「全てが勤めに必要な物である。捨てる物などない。」

と言われ、「春之介」は上司からの許可状である「見切り御免状」を見せますが、

高給藩士「小林彦太郎」

「無礼者め。下がれ!」

と一喝されてしまいます。

そして、

高給藩士「小林彦太郎」

「それでも捨てろというのなら、何が必要で何が不要か、筋の通った説明をせよ。」

と無茶を言われます。

そこで「春之介」は、以前に「於蘭(おらん)」から言われたことを思い出します。

於蘭(おらん)

「必要な物は、見て楽しい物だけだと。つまり見てつい手にとってしまう物ですね。それだけを置いておけばいいのです。一年以上使わなかったものなど、もはや死に体」

この言葉をヒントに、一計を案じます。

「大きな布を見つけてきてください。私はここで判定の準備をしますから」と言って、武芸の達人で幼馴染の鷹村に布を探して持って来てもらいます。

すると、壁一面に大きな布を掛け、部屋の中に何の荷物が置いてあったのか見えないように隠してしまったのです。

そして、小林彦太郎に対してこう言ったのです。

春之介

「さあ、小林殿。この用意したる紙に荷物の目録を書いてください。」

あっけにとられる小林を横目に、さらに一言。

春之介

「壁面にあった荷物を全て書き出してくださいと言っているのです。もし書き漏らしがあれば、それは重要ではない荷物ということでしょう。なにせ記憶に残っていないのですから」

こう言われては、さすがの小林も何も言い返すことは出来ません。

そして目録を書き終え、壁面の布を外し、答え合わせをすると、名品の伊万里焼の皿が書き漏らされているではありませんか。

それに対し、春之介は、

春之介

「見切りました。これは小林さまの書かれた目録にありません。つまり不要!」

冷徹に処分しようとする春之介に対し、

高給藩士「小林彦太郎」

それだけは捨てないでくれ!

と懇願する小林。

春之介

「ではどれなら捨ててよいのです?では今から四半刻(約三十分)の間に半分の荷物を捨てておいてください。間に合わなければ、この皿を割ります」

と言い残し、皿を懐に入れると部屋を出ていきました。

断捨離で出た不用品は、骨董品屋などに売る事で引っ越し費用の足しにしたのでした。

ここでの大事な教訓は、

当時は自分がすごく欲しくて買ったものでも、今ではその存在すら忘れてしまっているほど興味が失せてしまった品物も数多くあるはず。
そのようなものは、今のあなたにとっては「不用品」であり処分の対象となる。
という事です。

膨大な書物は処分する

本が大好きな書庫番「春之介」は当初、

春之介

「あれは先人たちの知恵がたっぷりと詰まった大事なものであり...書物も一緒に引っ越しをさせて頂きたいのです。」

と、大事な書物を処分するなんてトンでもないと考えていましたが、引っ越し費用を抑えなければならない今回の引越しでは、

膨大な書物が、掛かる引っ越し費用を増大させるのは目に見えています。

ましてや、自分は引っ越し奉行として、みんなの不要な荷物を「見切り御免状」(=国家老の本村からの断捨離許可状)を見せ、バッサバッサと切り捨ててきた立場。

みんなに示しを付けるためにも、重大な決断をします。

なんと、4日間も書庫にこもり、飲まず食わず不眠不休でほとんどの書物を読破。すべての情報を頭に叩き込み、ほとんどの書物に火をつけ燃やしてしまいます。

鷹村が言った

「大事な書物を果断に焼き捨てたのだからな」

との一言に対し、

春之介

「あれは捨てたわけではないんです。なんとか私はあの書物を引っ越しさせました。」

と言いました。

しかし何のことかピンとこない鷹村に、春之介は「己の頭」を指さして一言。

春之介

「書物は、全てここに入っています。」

ここでの大事な教訓は、

すでに読んでしまった本は、あなたの頭の中に保管されていれば不要です。
さらに現代では、雑誌や文庫本、書籍など多くの書物が電子化(ebookやKindle本など電子書籍化)されているので、物として保管するのではなく「電子データ」として保管してあればいいのです。
また、引っ越し荷物全体の内、重量比でかなりの割合を占めるのは、書籍類だそうです。荷物を軽量化する為にも書籍類の処分は重要です。

引っ越し費用を借りる。交渉ごとのポイント

引っ越しの費用を借りるために、廻船問屋の和泉屋に行く、春之介と勘定奉行の中西。

和泉屋の主人にお願いした金額は、千両。

しかし、遠く九州豊後日田まで引っ越ししてしまう松平家に、借金を踏み倒される可能性がある事を知っている和泉屋の主人は、当然お金を貸すのを渋ります。

どうにもならないと覚悟した春之介は、侍にあるまじき「土下座」をしてまで、金を貸してくれないかと頼み込みます。

そんなことをされても困る和泉屋の主人。頭を上げない春之介。

どうにもならない膠着状態の後、

勘定奉行の中西がとある提案をします。

中西

「実は日田で播磨の酒を売ろうと思っておる。今度姫路に入られる本多さまと組む段取りになっている。商いが大きくなれば仕入れは毎日でも必要になる。瀬戸の海運に詳しい者がいればと思っておったのだが...」

と言うと、主人の態度が一転

和泉屋主人

「わかりました。この和泉屋、力になりましょう。御用金、二千両ではいかがでしょうか?」

ということで無事、当初の金額の倍額、二千両を借りる当てが出来ました。

和泉屋からの帰り道、中西は春之介にこう諭します。

交渉ごとというのは相手に利を与えつつ、こちらの利も得ることだ。そうでないと人は動かぬ。頭を下げるのは考えることから逃げるのと同じだ。

また、世間ではよくこうも言われます。

「説得」するとは、相手の「得(とく)」を「説く(とく)」ことだと。

物理的に引っ越し出来ない墓の問題

次席家老「藤原」に呼び出された春之介。

「先代さまをはじめ、ここの墓地には多くの方が眠っておられる。国替えとなればこの墓をいかがするつもりか」

と問いただされてしまいます。

まさか、墓を姫路から日田まで運ぶわけにはいきません。

併せて、減封により一定数の藩士をリストラしなければならず、人選も悩みの種でした。

これを一気に解決する方法を春之介はひらめきました。

ただ単に藩士を辞めてもらう(リストラ)のではなく、姫路で帰農(=百姓になる)して田畑を耕してもらいましょう。

そうすれば墓を移動することも無く、墓守も一緒にしてもらえる。

さらに、刀などの武器を預かってもらう事で、日田への引っ越しの際、関所での荷物検査(特に武器類はチェックが厳しい)を楽に済ませようという判断です。

転勤が多い人向けのアドバイス

・いつでも動けるようにしておく。

・そのときになってから慌てては遅い。

・そもそも余計な物を買わない。

・必要な荷物も広げるのではなく、箱に入れたまま使う。梱包する手間の削減

・次回の引っ越しの為に、お金の蓄えを用意しておく。

最後に

今回の記事は、

【映画「引っ越し大名!」と原作「引っ越し大名三千里」に学ぶ引っ越しのコツ】と題してお送りしました。いかがでしたでしょうか?

楽しみながら、なるほどと思える引っ越し荷物を減らす方法やテクニック、引越し見積りや引っ越し全体の費用削減方法を紹介しました。(本文中で作中のセリフ等を一部引用させて頂きました。)

皆さんも大いに参考にして、現代の引越しに生かしてみて下さい。

やはり重要なのは、『お金が無い(節約したい)なら、自分の頭で考え知恵を絞る。』ということに尽きます。

原作の小説「引っ越し大名三千里」はこちら。

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感想(4件)

映画「引っ越し大名!」についての情報はこちらです。

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感想(0件)

映画のあらすじやロケ地情報については、

別記事『星野源主演、江戸時代の引越し映画「引っ越し大名!」。ネタバレ無し』をご覧ください。

映画「引っ越し大名!」の公式サイトは、hikkoshi-movie.jp、映画配給元は松竹です。

では、また次回。

についてお伝えします。

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