2016年頃より、ここ数年、2月末から4月上旬の春の「引越し繁忙期」になると、【引越難民】と呼ばれる引越したくても引越し出来ない人たちが数多く発生し、社会問題にまでなっています。
しかし、昨年2020年の春は、日本国内でも新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、企業の方でも春の人事異動に伴う引越しを延期したりしたことで、例年ほどの混雑はありませんでした。
さて、2021年の春はどのような状況になるのでしょうか?
今回は「引越難民問題2021年春。引越し難民の状況予想と対策」と題して、2021年春の引越難民状況の予想と引越し難民にならない為の対策についてお伝えします。
ここ数年の引越難民の状況。『引越難民』とは?
「引越難民」とは、引越しをしたくても引越しが出来ない状況に陥っている人たちのことを指して「引越し難民」と呼んでいます。
引越し難民の形態には主に二つあって、
①引越したくても、そもそも予約が取れない為に引越し出来ない。
②予約は取れそうだけども、あまりにも高い見積り金額(長距離・家族連れで100万円超という場合も有)なので、金額面で折り合わず引っ越しを依頼することが出来ない。
という2種類のパターンがあります。
引越し難民については、政府の働き方改革の影響が出始めた2016年頃より、「引越し難民」が顕在化してきました。
過去の引越し難民の状況や、複雑に絡み合う複数の原因、そしてそれを踏まえた【あなたが取れる数々の対策】などについては、以下の各記事で確認して下さい。
「2019年春、引っ越し難民にならない為に。原因と対策のまとめ」
「引っ越し難民対策【2023年版】あなたが引っ越し難民にならない為に」
2021年春の引越難民の状況予想。2021年の『引越難民』の特徴とは?
引越難民についての、原因や対策など基本的な事は、前項で紹介したリンク記事を見れば理解できたと思うので、
ここでは、2021年春の引っ越し事情(引越し業界・運送業の事情・新型コロナウイルスの影響など)に焦点を絞って話をし、
過去ではなく、「2021年春」を見据えた現状分析を行い、引越し難民にならない為の対策について考えます。
ヤマトホームコンビニエンスの家族向け引越し【受注休止中】
ヤマトホームコンビニエンスでは、2018年8月の企業向け引越しにおける水増し請求発覚により、引越し業務を停止していました。
それ以降、個人向け単身引越し及び法人向け単身引越しの「単身パック」については順次再開をしていますが、
また、以下のニュースリリースにある通り、ヤマトホームコンビニエンスとアート引越センターは、引越し市場における協業を検討開始したと発表(2020年10月21日付け)されています。
ヤマトホールディングス・ニュースリリース:「アートグループホールディングス株式会社とヤマトホールディングス株式会社は引越市場における協業の検討を開始します」
もしかすると、このままヤマトホームコンビニエンスとしては、家族向け引越しが再開されない可能性も出て来ています。
とにかく、2021年1月8日の現時点では家族向け引越しのサービスは受けられない状況なので、2021年春の引越し繁忙期にその分の負担が他の引越し業者にのしかかるのは確実です。
2019年春、2020年春に続き、引越し業界第4位の取り扱い規模を誇っていたヤマトホームコンビニエンスの抜けた穴は非常に大きいです。
ヤマトホームコンビニエンスの「単身パック」についての詳しい情報はこちらの記事「クロネコヤマト単身パック。再開後のサイズや料金、疑問点について解説」で紹介しています。情報が必要な方はあわせてご覧下さい。
レオパレス21のアパート施工不良問題
2019年2月、新聞などメディアでも大々的に公表されたので知っている人も多いと思いますが、
賃貸大手レオパレス21が建設・管理しているアパート総数約3万9千棟の内、総数の約7割に当たる1万5628棟に、施工不良が見つかりました。
そして、その影響で2019年3月には、急遽退去することを余儀なくされた住人が多発し、引越難民状況に更なる拍車をかけました。
しかし、ご存知の通り、2020年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大があり、当初、改修工事完了を2020年12月と予定していましたが、
アパートの改修工事は2020年5月以降休止となっており、現在補修が完了した物件は、約1割にも満たないそうです。
その為、まだ改修が終わっていない物件が多数の為、未だ入居することが出来ない状況であり、急に入居者が増える=引越し人数が急増するという事態にはならないので、
引越し難民に関しては、レオパレス問題の影響は皆無と言えるでしょう。
新型コロナウイルスの影響
2020年春は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月4月の引越し繁忙期に、引越しをキャンセルしたり、延期したという人々が1割~4割にも達したと回答した引越し業者が、調査した引越業者全体の約6割に上ったそうです。
また、転勤の引越し依頼については、例年よりも2~3割減少したと60%が回答、残り40%の会社は、大半がキャンセルであったと回答しています。
参考:引越し侍『引越し侍が、「緊急事態宣言」発令による引越しへの影響を調査』
そのことで、2020年春には、例年ほどの引越し難民状況は発生しませんでした。
しかし一方で、最近になってファイザー製薬で新型コロナウイルスのワクチンが開発完了、2020年12月8日からはイギリスでワクチンの接種が開始されたというニュースが入ってきています。
日本も早急にワクチン接種を開始したい意向を示しており、2021年6月までに、1億2千万回分(2回接種で6000万人分)のワクチンを入手することでファイザー製薬と合意したと伝えられています。
ワクチンにより、新型コロナウイルスの影響が無視できるレベルになると、皆さん引っ越しを控えたり延期したりという事もなくなり、例年通りの引越し需要が再び発生すると考えられます。
但し一方で、新型コロナウイルスが社会にもたらした影響は多大な物があり、不要な出張や転勤の削減、リモート出社など、社会の仕組みの有り方すらを変えてしまいました。
よって、2021年春に例年通りの引越し需要(例年は、3月に約90万人、4月に約70万人が転出転入している)が起こるかどうかは全く予測不可能です。
新型コロナウイルスの影響下での各引越業者・レンタカー会社・役所の対応、肝心のコロナ対策については、こちらの記事「引っ越しは延期すべき?新型コロナウイルス感染症、緊急事態宣言解除後の引っ越し事情」にまとめてあります。
引越業者アップル引越センターが発表した2021年の引越し難民予想
中小の引越業者、アップル引越センター(引越専業者の売上高でTOP10)が毎年恒例になっている引越し難民予想を発表しています。
アップル引越センターの予想では、【例年よりやや緩和する】との見方です。
詳細は、こちらの記事「2021年の引越しシーズン予測、引越難民問題はやや緩和!?」をご覧下さい。
全日本トラック協会発表、令和3年(2021年)春の引越混雑予想カレンダー
多くの引越業者が加盟している「全日本トラック協会」。
全日本トラック協会が発表した、令和3年(2021年)春の引越混雑予想カレンダーによると、
令和3年(2021年)は、3月13日(土)~4月11月(日)頃まで混雑が予想され、
特に、3月20日(土)~4月4月(日)の約2週間が混雑のピークを迎えるそうです。
画像引用元:全日本トラック協会令和3年引越繁忙期~分散引越にご協力をお願いします~
皆さんも極力この時期を避けられるように、引越しの日程調整してみて下さい。
でも正直言うと、この発表される傾向は『2018年頃から全く一緒』なので、令和3年(2021年)特有の事情は考慮されていない点だけ注意しておくようにして下さい。
最後に。引越難民にならずに済む対策まとめ
やはり基本的な対策としては、引越しするための方法を1つに絞らず、いくつか複数の引越しプランを持っておくことが重要です。
具体的な引越難民対策方法としては、次のようなことが挙げられます。
- 可能な限り、早めに引越しの予約を入れる(3か月前から予約可能)
- 引越し先の住所は、市区町村レベルまで判明していれば予約可能⇒物件が決まる前でも引越し予約する(他の人より1ヶ月早く動ける)
- 大手引越業者だけでなく、中小の地域密着型の引越業者も当ってみる
- 予約が取れないなら、シェアリングサービスや赤帽の利用も考える
- 荷物が少ないほど、引越し手配するのは簡単⇒荷物が本当に最小限であればタクシーや公共交通機関だけで引越しすることも可能
- 引越業者が完全にアウトな場合、宅急便などの宅配を利用して引越しする
- どの方法でも無理な場合は、引越し時期をずらす
この辺が取れる対策です。
以下の参考記事もよければ、併せてご覧ください。
ではまた次回。
と題してお送りします。