退去時の掃除と原状回復について。敷金を多く取り戻すコツ。

各作業のコツ・注意点
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引っ越しでは何かと出費がかさみ、お金が出ていく一方です。

ところが、引っ越しにおいて、あなたにお金が入ってくる(得られる)チャンスは、この『敷金返還』のワンチャンスしかありません。

他は、各種保険を中途解約した時にもらえる「解約返戻金」ぐらいしか思い当たりません。

今回は、

引っ越し費用(引っ越し業者に払う分)=『出ていく分(マイナス分)』

と共に、経費の二大削減ポイントである、

敷金=『入ってくる分(プラスになる分)』

をいかに多く返してもらうか?ということで、

『敷金を多く取り戻すコツ。』をご紹介したいと思います。

この「引っ越しにおける天下分け目の戦い」=『敷金返還をいかに戦うか(準備するか)』は、あなたの引っ越し全体の収支がプラスになるかマイナスになるか決まってしまうほどの一大事です。心して取り掛かってください。

私の場合も、これから紹介するコツを実践することで、8割以上の額の敷金返還を実現しています。あなたも是非実践して、引っ越し収支をプラス方向に持っていきましょう。

退去時の掃除と「原状回復」について。「敷金を多く取り戻すコツ」とは?

「敷金」と「原状回復」

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賃貸物件の場合、あなたが入居する際に「敷金」、通常家賃の1~2か月分を払ったことを覚えていると思います。

この「敷金」とは、入居中に家賃の滞納があった場合にそこから引かれたり、

退去する際に部屋を「原状回復」させるために必要な原資となります。

民法では、敷金について

「賃料その他の賃貸借契約上の様々な債務を担保する目的で賃借人(注釈:ちんしゃくにん=料を払ってりる:入居者⇒「あなた」のこと)が賃貸人(注釈:ちんたいにん=をもらって:不動産業者や大家さん)に対して交付する停止条件付きの返済債務を伴う金銭」

と記載されています。

ちなみに、貸借人(たいしゃくにん)と言った場合は、貸す人、借りる人両方を指す言葉です。

その為、民法の定義に従えば、敷金とはあくまで「担保」であって、何も問題なければ、全額返ってくるはずのお金です。

しかし現実には全額戻ってくることはほとんどありません。

それはなぜでしょうか?

ここに、原状回復の定義(解釈の違い)が、不動産業者(大家さん)により異なるからです。

1990年代までは、不動産業者(大家さん)になんやかんやと理由を付けれられ、敷金からガッポリ引かれることも多く、敷金返還についてのトラブルが多発していました。

その状況を重く見た国土交通省は1998年に、

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を発表しました。

これ以降、ある一定の目安が設けられました。

この一定の目安(ガイドライン)を知っておくだけで、あなたが不動産業者(大家さん)に不条理なことを言われても、泣き寝入りせずに反論することが出来ます。

これからお話しする目安(ガイドライン)は必ず押さえておきましょう。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

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1998年に国土交通省が発表した、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の中には、

「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」

と記されています。

つまり、

あなたの故意や過失、綺麗に使おうという意思がなく日常の手入れを怠ったり、度を過ぎた使用法などが無ければ、それ以外はあなたの責任ではありません。

よって、生活しているうえで通常やむを得ない(経年劣化)と判断されるもの、

例えば、畳が日に焼けて自然に黄色くなってしまった。ヤニ汚れではなく、普通に壁紙が変色してしまった。などでは、「原状回復」義務は生じません。

しかし、猫を飼っていて、柱で爪とぎをするものだから、柱を傷だらけにしてしまった。

子供が障子やふすまを破いてしまったなどの場合は、通常の使用ではないので、これらを修復するのは「原状回復」に当たります。

そして、

「原状回復」=「あなたが入居する直前の状態に戻すこと」では無い!(経年変化は考慮される)ことをまず理解しておきましょう。

しかし、ガイドラインはあくまでガイドラインであって、強制力はありません。その為、昔からの慣習もあり、ハウスクリーニング費用は、契約書に「借り主負担」が明記されていることもあります。

ガイドラインより契約書の内容が優先されるので、契約書の内容に「賃貸特約事項」が盛り込まれていないか、その内容はどうなっているのか、契約前には必ず確認しておくようにしましょう。(引っ越し前の今となっては、遅いかもしれませんが...)

だったら、普通に生活していて汚れた(劣化した)んだから、そのままで退去してしまえばいいのかというと、そうではありません。

⇒敷金全額返還は無理でも、そこからハウスクリーニング費用のみを引いた額に抑えることは可能です。

ガイドラインに示されていようと、誰が何と言おうとも、
退去時は絶対きれいにしておいた方が、実際に汚れているかどうかだけではなく、退去時に綺麗になっていれば、住んでいた間も綺麗に、大事に使っていてくれたのだなという「心理的」作用が働き、実際の綺麗度以上の印象の良さが残るのは間違いありません。
そうすると、確実に敷金の戻りは良くなることでしょう。

私の実例を挙げると、退去時の掃除を入念に行っていたため、敷金=家賃2か月分の約14万円の内、ハウスクリーニング費用2万円を引いた、12万円が敷金の返還分として戻ってきたこともあります。

この時は、退去日引き渡しの時(業者のハウスクリーニング前)に立ち会ってもらった不動産業者の方が仰った

「ここまできれいに使っていてくれたのなら、ほとんどクリーニング要らないね」

という言葉がとても印象に残っています。

その為、ここから先では、

敷金の戻りをよくするための、退去時の掃除のコツ(ツボ)をご紹介したいと思います。

退去時の掃除のコツ(ツボ)

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故意・過失、その他通常の使用を超えるような使用が無い前提で考えると、

ポイントは、善管注意義務違反(善良な管理者としての注意義務を怠ること)の部分です。これは、簡単に言うと、「適切な日常の手入れをする」ことを指しています。

日常の手入れが行われていない具体例を挙げると、

ガス台回り、換気扇が油でベトベトになっている。五徳がススまみれ、サビサビになっている。
風呂場やトイレ、洗面台などの水回りが、水垢やカビでひどいことになっている。
食べこぼしなどによる床のシミ。
喫煙による壁紙の黄ばみ、ヤニ汚れ。
などが代表的なところです。

これら、

普通に掃除しただけでは落ちにくいしつこい汚れは、「適切な日常の手入れ」がされていないと判断されてしまいます。

以上のポイントとなる箇所を綺麗にしておくだけでも、退去時の印象は良くなります。

別の言い方をすると、多少埃が残っていようが、最後に掃除機を掛けてなかろうが、そこはあまり重要視されていません。(引っ越し作業をすれば、ほこりなどが出るのは当たり前)

ポイントとなる箇所が分かったところで、それぞれの場所を綺麗にするには、具体的にどのようにすればいいかを紹介しておきます。

①台所回りの掃除

軽い油汚れには、中性洗剤で。

しつこい油汚れには、オレンジ由来成分(オレンジオイル)配合の洗浄剤やアルカリ性の洗剤(「重曹」もアルカリ性です。)が効きます。

しばらく漬けおきしておくと、さらに効果倍増。力を入れてこすったりという手間も省けます。

但し、強力なアルカリ性の物は、素手で作業をすると手肌が荒れてしまうので、ゴム手袋を着用するのは必須です。また、アルカリはアルミを溶かしてしまうなど素材を傷める可能性があり、取り扱いには注意が必要です。

中には電解水などナノテクを使い、水100%で肌にも環境にも優しい製品もあります。

日常の予防策としては、油は冷えて固まると頑固なこびりつき汚れとなってしまうので、汚れたら出来る限り早く汚れを落としてしまうこと。これにつきます。

②水回りの掃除

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水回りの汚れには、ザラザラとした水垢、カビ菌による黒っぽい汚れ(黒ずみ)、ヌメヌメするピンク色の細菌(酵母)汚れなど、原因も現象も様々です。

汚れの種類に応じた洗剤選びと予防法が重要です。

(1)水垢汚れ

キッチンのシンクや風呂場の浴槽にできるザラザラとした水垢(アルカリ性)は、水道水に含まれる「カルシウム」分が石灰化する(固まる)ことで発生します。鍾乳洞の鍾乳石も同じです。

綺麗にするには方法が2つあり、1つは物理的に削って落としてしまう方法。これには研磨剤配合のクレンザーや重曹、メラミンスポンジを使う方法があります。

もう一つは、アルカリ性と反対の酸性のクエン酸やお酢を使う方法。クエン酸の場合、500mlの水に対しクエン酸を小さじ2杯程度を入れてよく溶かし、スプレーボトルに入れて使います。

このクエン酸液を綺麗にしたい箇所にスプレーし、10分程置いた後に拭き取ります。

それでも落ちないしつこい汚れの場合には、キッチンペーパーなどにクエン酸液を含ませたものを、汚れの箇所に貼り付けて、上から食品用ラップを乗せ水分が蒸発しないようにしておきます。
まるで顔の美顔パックをするようにして、1時間以上(場合によっては1晩)放置しておくと、アルカリと酸が反応して石灰分が柔らかくなり、簡単に汚れを落とすことが出来るようになります。

特に、蛇口回りと台所のシンク(ステンレス部分)を顔が映るぐらいピカピカにしておくと、退去立会い時の印象アップです。一流ホテルの水回りはここもピカピカに掃除されています。

(2)カビ菌による黒ずみ汚れ

カビ菌による黒っぽい汚れ(黒ずみ)が発生するのは、洗浄成分のカスや皮脂などを栄養分として、カビが成長するからです。これを防ぐには、シャワーや浴槽を使った後に、カビ菌の栄養となる洗浄成分や皮脂をよく洗い流し、こまめに掃除しておくことが大事です。

(3)ピンク色の細菌(酵母)汚れ

ピンク色の細菌(酵母)汚れは、ロドトルラという名称の酵母菌によるものです。

(4)トイレの尿石(アルカリ性)汚れ

さらに厄介なのは、トイレの尿石(アルカリ性)による汚れです。

これを落とすには、アルカリ性と反対の酸性洗剤を使うのが一般的ですが、酸性洗剤はツンとくるにおいや目への刺激も強いので、そんな場合は効果は弱くなりますが、先に出た「クエン酸水」や「お酢」を利用すると良いでしょう。

最近では、表面にフッ素樹脂加工を施すことにより汚れをつきにくくし、日頃の掃除の手間を軽減する製品も出ています。ぜひ使ってみてください。

③床面の掃除

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板張りのフローリングの場合、色あせに対しては、フローリング専用WAXで色艶を回復させることが出来ます。

日頃の掃除の時は、フローリング用のお掃除シート(ウエットタイプ)で拭くか、中性洗剤を溶かした液を含ませた雑巾を固く絞り水拭きします。

目立つような深めの傷がある場合は、専用のクレヨンを塗り込んだり、充填式の補修材などで、補修しましょう。

④壁面の掃除

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画鋲や釘などで開いた穴は、シール材やパテなどで埋めた後、壁の色に合った色で塗り補修します。

小さい子供が、クレヨンで壁に落書きした場合は、落書きのところにドライヤーをちょっと距離を離して低温の熱を加えると、成分の油分が溶け柔らかくなるので、それをティッシュなどで吸い取るようにすると、だいたい落ちます。残りは、中性洗剤を馴染ませながら水拭きすると、きれいになります。

たばこのヤニで変色し、においが染み付いた場合は、元のように綺麗にするのは難しいので、壁紙クロスの全面張替えとなる場合が多く、敷金の戻りがよくありません。

その為、敷金を気にするのであれば、室内での喫煙は避けた方が良いでしょう。

最後に

掃除など完璧に綺麗にして明け渡すと、敷金の返礼は多いですが、時間がないならそのままにしてしまうのも仕方がないこと。

「ここまでしかやらない(できない)。」というデッドラインの設定(一種の割り切り)も大事です。

また、もしあなたの納得のいかない、修繕費や掃除費が敷金から引かれていた場合は、返還額および内容について、大家さんや不動産会社と話し合いましょう。

つい最近2018年12月16日に札幌で起こった、大規模なガス爆発事故。

この事故原因を調査する中で、なんと、某不動産会社が「消臭・抗菌代」と称して、ただのスプレーに入居者から1万円も取っていたという事実が発覚しています。

訳が分からないものに、費用を払わされることが絶対無いように、私たち消費者は、気を引き締めて掛かりましょう。

情報ソース:J-CASTニュース

敷金返還についての具体的なトラブル対処法及び予防法については、以下別記事にて細部まで紹介しています。

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