引っ越し業者に心づけを渡す必要はある?相場や何が喜ばれるのか等について

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今回は、「引っ越し業者に心づけを渡す必要はある?相場や何が喜ばれるのか等について」と題して、

引越しを業者の方に頼んだ場合、お礼として「心付け」を渡す必要はあるのか?

また、心付けを渡すなら「いくら」ぐらいが妥当なのか?

今回は、そんな「心付け」に関する疑問についてお答えします。

そして、引越業者の方が心付けをもらうより、うれしいこと・して欲しいことについてもお伝えします。

もし、引越しを親戚や友人知人に頼んだ場合のお礼の相場について知りたい方は、こちらの記事「引っ越しの手伝い、誰にお願いしますか?友人や便利屋、引越業者を比較」をご覧下さい。

引っ越し業者への心づけは必要ですか?

心付けとはどういうもの?

そもそも心付けの習慣というのは、ちょっと前(引越専門業者登場前後1970~80年代)までは、引っ越し自体を業者に頼まず、友人、親戚、会社の職場の人達、近所の方に手伝ってもらい行うのが主流でした。

このような場合、原則的にはお互い様という感じではあったようですが、手伝って頂いたお礼に食事を振舞ったり、謝礼として「心付け」を渡していました。

その名残りが、引越業者に頼むようになっても「心付け」として残っているのです。

また、家に関することで現在でも残っている風習として、家を新築し「上棟式(建て前)」をするときに、餅や小銭を撒いたり、大工さんにお酒や食事を振舞うという習慣が残っています。

さらには、旅館に泊まったときにあなたの部屋を担当する仲居さんにチップとして「心付け」を渡したり、ゴルフでラウンドする時担当のキャディーさんにチップを渡すなど、様々な場面でまだあります。

引越業者の「心付け」に対する認識は?サカイ引越センターやアート引越センターなどの見解を紹介

昨今では、企業内にもコンプライアンス意識が高まり、ビジネスの透明性や、特に不正の温床になりやすい金銭のやり取りに関することには厳しくなっています。

そのような背景から、引越業者の中には明確に、「心付けは不要」と明記している業者もあります。

各社が「心付け」をどのように捉えているか、見ていきましょう。

引越しの心付けに関する見解。サカイ引越センター

    サカイ引越センターよくあるご質問

  • 引越しスタッフの方に、心付けや食事を用意した方がいいのですか?
  • 当社のスタッフにはそのような心遣いはご不要です

引用元:サカイ引越センター

引越しの心付けに関する見解。アート引越センター

    アート引越センターその他のご質問

  • Q:引越スタッフの方への謝礼は?引越スタッフの方に謝礼や食事の用意をした方がよいのでしょうか?
  • 当社引越作業スタッフへの心遣いは必要ございません

引用元:アート引越センター

引越しの心付けに関する見解。アーク引越センター

    アーク引越センターよくある引越しQ&A

  • Q:作業スタッフに心付け(チップ)は必要ですか?
  • A:アーク引越センターでは心付け拝辞をしております。つねによいサービスをご提供いたしますのでご安心ください。

引用元:アーク引越センター

「拝辞」とは辞退することと同義語です。

引越しの心付けに関する見解。日通

    引越しは日通>引越しよくあるご質問

  • Q:作業スタッフの方に、心づけや食事の用意をした方がよいですか?
  • A:すべてお断りしていますので、お気遣いいただかないようお願いします。以前は、引越しの作業スタッフに、労いの意味を込めて心づけを渡すといった風習が残っていましたが、最近では、そういった風習もなくなってきております。また、現在は、引越しを少しでも安く、信頼できる会社に頼みたいという消費者心理から、複数の引越会社に見積もりを依頼して検討されることが一般的になっており、当社としては、数ある引越会社の中から選んでいただけたことだけでたいへん有難く、感謝して作業にあたっております。

引用元:日本通運

以上のように、

心付けを渡さなかったからといって、サービスの質が低下することは無いので安心して下さい。

そして、基本的には各社とも心付けは不要というスタンスですが、

日通だけ「すべてお断りしていますので・・・お願いします。」と自社でお断りしているだけでなく、利用者に対してもお願いしている点がポイントです。自社だけでなく、消費者にもコンプライアンスを守るために協力を依頼する強い姿勢が感じられます。

また、心付けの風習についても言及し深く踏み込んで回答している為、日通の場合は、不要というよりも禁止に近いスタンスとも捉えることが出来ます。

日通でお願いする場合には、 心付けなどは無暗に渡さない方がいいと思います。

ただそうは言っても、いくら不要と明言していても引越しスタッフ側からしたら、貰ったらやっぱりうれしいのが 心付けではないでしょうか?

正直なところ、現場の実態はどうなの?

日本には昔から「本音と建て前」、また「空気を読む」という文化が脈々と受け継がれています。

会社が明言しているのは、ホームページなどでの「建て前(表の顔)」の部分。

実態として、実際の引越し現場レベルではどうなのでしょうか?

引越し侍が実施したインターネットアンケート結果(回答数2840件、2015年の集計データ)によると、

  • 約半数の48%の方が渡していない。
  • 残り半数52%の方が何かしらを渡している(内訳は、差し入れ32%、心付け14%、どちらも渡した6%)。

となっています。

参照及び画像引用元:引越し侍「引越し当日は、引越し業者に『差し入れ』を渡す?差し入れ総額が最も高い都道府県は?

やはり実態としては、心付けまたは差し入れをするという習慣は根強いみたいです。

しかし、利用者としても引越会社からの「不要宣言」を受け、お金よりもその場で消費しやすい「差し入れ」にシフトしているようです。

今や、心付けとして「現金」を渡している人は、5人に1人とまで少数派になっています。

引っ越しで心付けを渡すなら、相場はいくら位?

相場というのも変ですが、心付けを渡す場合一般的には、作業員一人に対して1,000円というのが最も多いようです。

中には、一人当たり2,000~3,000円も心付けを渡すという気前のいい方もいるようですが。

心付けを渡す場合、作業員3人なら、1,000円×3人分をそれぞれ小分けにしてポチ袋(お年玉などを入れる小さな封筒:100円ショップでも購入可)に入れて用意しておけば良いでしょう。

またそもそもですが、日本の「心付け」という習慣は、海外におけるサービスが良かったから「チップ」を渡すという事にも似ていると思います。

但し、現代では「海外でのチップ」の習慣も形骸化していて、サービスが悪くてチップを置いていかないと、怒る店員がいるという話もあるそうです。

あなたが受けたサービスが良かったら、それに対してこちらの感謝の気持ちとして心付けを渡すという事で良いと思います。

なので、あくまであなたの「気持ち(感謝やお礼)」が重要です。

ましてや、引越しの場合、荷物を雑に扱われたとか部屋に傷をつけられたなど、感謝できるようなサービスを受けられなかったら、とても「心付け」を渡したいとは思えないでしょう。

結論としては、「心付け」は渡しても渡さなくてもそれはあなたの気持ち次第。渡さないからと言って、現代では非常識でも何でもない。

引っ越しの心付け、ポチ袋の表書きの書き方

心付けを渡す際、ポチ袋に表書きを書かずにそのまま渡しても問題ありませんが、表書きを書くのであれば、

「寸志」、「御礼」、「心付」

と書いてください。

ちなみにポチ袋の『ポチ』とは関西の方言で「心付け、ご祝儀」のことを意味するのだそうです。ポチ袋という名前は用途そのままを表していますね。

そして、中に入れるお金に新札を用意する必要までは有りませんが、出来れば比較的綺麗なお札を上げて下さい。

もしボロボロの汚いお札だったら、もらっても微妙な気持ちになると思いませんか?

引っ越しの心付けはいつ渡せばいい?

心付けを渡すタイミングは3回の内どれか。

基本的には、心付け(お金の場合)を渡すタイミングは、旧居で一日の作業が「始まる前」か、新居で一日の作業が「終わった後」かのどちらかになると思います。

その他としては、旧居で荷物積み込み完了後(移動前)に、ジュースやお菓子などを渡す時があるでしょうか。

引越し作業開始前に心付けを渡せば、テンションが上がって作業員のやる気が違ってくることも無いとは言えないでしょう。

作業開始前なら「本日はよろしくお願いします」。

また、引っ越し作業終了後に、「本日はお疲れ様でした。」という言葉と共に心付けを渡すのでも良いでしょう。

心付けを渡す場合は、「飲み物代やお昼代の代わりにどうぞ。」と言って手渡すとスマートです。

心付けを渡す時のポイントは、作業員みんなの前で、個別に渡す事。みんながいないところでリーダーにまとめて渡すと、そのまま一人で着服してしまう人も中にはいるそうです。

「心付け」は、その日働いてくれる・働いてくれた作業員皆さんへの期待や感謝の気持ちなので、皆さんそれぞれに一言いいながら渡すのがベストです。

もし飲み物やお菓子の場合は、作業開始前に飲んだり食べたりする人はさすがにいないので、例えば、旧居で荷物を積み終え、新居に向けて出発する前(移動時間=休憩時間となるため)に渡すと、一番良いかもしれません。

その理由は、作業開始前であれば、彼らが事前に購入するなり自宅から持ってきているはずですが、積み込み作業完了後(前半戦終了後)には、飲み物も既に飲み切り無くなっている場合が多く、最も喜ばれるはずだからです。

飲み物なら何がおすすめ?

心付けには、現金以外にも差し入れという形で、飲み物や食べ物という選択肢もあります。

先に紹介した引越し侍のアンケート結果でも、現在では現金よりも飲み物や食べ物を差し入れている人の方が多いという結果になっていました。

引越し作業はご存知の通り重労働で、冬でも汗ばむぐらいなので、飲み物は、水分・塩分が補給できるものが適しています。

最も一般的なのは、ポカリスエットやアクエリアスなど電解質(ナトリウムやカリウム)が入っているスポーツドリンク。

次いで、癖が無く飲みやすいお茶やただの水(ミネラルウォーター)が好まれています。

そして、缶入りよりペットボトル入りの方が持ち運びしやすく、ふたを閉めて都度保管もしやすいので、ペットボトルがおすすめです。

その他としては、手軽に塩分補給出来るため塩飴も意外と人気です。

引越しで心付けを渡すよりも大事なコトとは?

さてここまで、心付けを渡す前提で話を進めてきましたが、

引越業者からしてみれば、本来の引越しがスムーズに運ぶように、決められた引越しルールを守る事や、各種気遣いがされている方がよっぽどありがたいはずです。

ここでは、引越作業員が喜ぶ、それらのポイントを紹介します。

荷造りを済ませておく

ごく当たり前のことですが、意外と終わっていないまま引越業者が来てしまうことがあるのが「荷造り」です。

「荷造り」が終わっていないと、荷物の運び出しが出来ないだけでなく、梱包作業に追加で時間が掛かって、後の引越しに影響してしまったり、場合によっては追加料金を払って荷造りをしてもらわなければなりません。

あまりにも状況がひどいと、引っ越し延期や引越しを断られる場合も有ります。

また、この荷造り(引越し準備)には、ストーブの灯油抜きや冷蔵庫の霜取り・水抜きなども含まれます。これらの作業が終わっていないと運んでもらえない可能性が高いです。

ストーブの灯油抜きや冷蔵庫の霜取り・水抜きについては、以下の記事を参考に行って下さい。

石油ストーブの引っ越し準備はどうするの?梱包方法や余った灯油の処分法も紹介

引っ越しの時、冷蔵庫の電源は何時間前に切り、新居でコンセントに入れるタイミングはいつ?冷蔵庫の引っ越し注意点

荷造りが済んでいないと、タイムスケジュールが遅れることは必至で、ひいては午後の2軒目、3軒目への引越しにも影響が及び、最終的には彼らが家に帰る時間が遅くなってしまいます。

荷造りをきちんと済ませておく、これは最低限のマナーではないでしょうか?

心付けのことを気にするのは、荷造りが完了してからの話です。

予め決まっていることは伝えておく(コミュニケーションを円滑にする)

引越しに慣れていないと、やる事が多くテンパってしまい、中々気が回らないかもしれませんが、

例えば、新居での家具配置や、どのダンボールをどの部屋に搬入してもらいたいかなど、あなたの方であらかじめ『こうして欲しい』という要望があれば、作業開始前にきちんと伝えて下さい。

この作業指示や新居の配置見取り図があるか無いかで、引越し作業全体の効率がかなり変わってきます。

引越しの『指揮者はあなた』です。

言い方は悪いですが、引越しスタッフの方をうまく使えるかどうかは、あなたの手腕次第です。

指揮者が下手だと、引越しもうまく行きませんし、効率が下がります。

また新居での荷物搬入後に、荷物がどこに行ったか分からずダンボールをひっくり返して探したり、ダンボールや家具を再度動かすという二度手間になったりし、あなたにとっても良くありません。

ここの部分は非常に大事なので、下準備および作業をどうしてもらうかあらかじめ計画を立てておくようにして下さい。

嘘をついてはいけない

例えば、見積もり時よりも思ったほど荷物が処分できず、当初想定していたよりも荷物が多くなってしまった場合は、トラックに乗り切らない可能性も出てきます。

また、引越し業者から当初貰ったダンボールだけでは足りずに、自分で追加調達して、ダンボールの数が増えてしまった場合なども該当します。

ダンボール2~3個ぐらいならば問題とならないでしょうが、大幅に増えてしまった場合は、必ず申告してどうするか相談して下さい。

乗り切らない分は、場合によっては置き去りにされるか、追加でトラックを手配しなければならなくなります。最終的に困るのはあなたです。

また、ストーブに灯油が入っているのに、入っていないと嘘をついてお願いした場合など荷物の中身についてもある程度きちんと申告しないと、もし破損事故などが有った場合はあなたが申告した内容に基づき保険が適用されるか判断されます。

これは迷惑行為なだけでなく、保険が適用されない可能性はもちろん、場合によってはあなたに損害賠償請求される事態にもなり兼ねないので、虚偽の申告は絶対にしないことです。

このことについては、標準引越運送約款(やっかん)=契約書のようなものにも記載されている大事な事項です。

これらのマナーを守ることの方が、心付けを渡す事よりよっぽど大切だと思います。

あなたも引越し業者も、お互い気持ちよく引越しが完了できるように協力しましょう。

最後に

今回は、引越しの時に心付けを渡す必要があるのか、いくら包んだらいいのか?また、心付けを渡す事よりももっと大事なコトについてお伝えしました。

心付けとは、まさにあなたの「ほんの気持ち」です。

引越しサービスを受ける時に、受けた後にその気持ちになるかどうかで決めればいいことです。

現代においては、そもそも初めから料金見積もりにサービス料という名目で含まれている類のものですから。

ではまた次回。

と題してお送りします。

こちらの記事もあわせてどうぞ。