様々な情報商材や、怪しい美容・健康器具や製品などにより、値段に見合った効果が得られず、ほとんど詐欺のような商品や製品が横行した時期を経て、
消費者のクレーム殺到を受け、消費者保護の観点から、クーリングオフという制度が出来ました。
このクーリングオフ制度によると、商品やサービス購入後、XX日以内であれば、商品代金の全額返金や無条件での解約が可能というものです。
では、
今回は、「引っ越し業者との契約にクーリングオフは適用されるのか?」と題して、クーリングオフとはどういう制度なのか、どのような場合に適用されるのかといった基本的な事から、
引越業者と締結される契約はどういった内容なのか、その他の注意点などまで解説し、
引越業者(引越し)を利用する時に気を付けるべきことについて、まとめておきたいと思います。
クーリングオフ制度とはどういう物?

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クーリングオフ制度について
『特定商取引法』という法律で定められた「消費者を守る為」の制度のひとつが、クーリングオフ制度になります。
クーリングオフ制度のポイントは、訪問販売や電話勧誘販売、マルチ商法や内職商法など(不意打ちやダマしの可能性が高い販売方法)により、あなたが何かしらの商品や教材(商材)を購入した際に、
ちなみに、クーリングオフとは文字通り、営業マンにアオられたりして、冷静な判断が出来ずに購入してしまったものを、後日冷静になって(頭を冷やす=クーリングして)、契約をオフにすることが出来るということです。
クーリングオフできないもの
その点から言うと、
元々は、一昔前は悪質な商法により契約させられ、困っていた消費者が多かったことから、制定された法律です。
クーリングオフ期間は?
このクーリングオフが出来る期間(猶予)は、販売方法により異なっていて、契約書面を交わした日(契約が有効となった日)を基準として、
「訪問販売と電話勧誘販売」、「エステや美容、語学教室や結婚相手紹介サービス」などの場合は【8日間】、マルチ商法や内職・モニター商法の場合は【20日間】と決まっています。
クーリングオフについての詳細は、独立行政法人 国民生活センターなどにご確認下さい。
また、その他の商品やサービスでも、以下の通りクーリングオフが定められている場合があります。
生命保険、損害保険【8日間】(保険業法)
宅地建物取引【8日間】(宅地建物取引業法)
投資顧問契約【10日間】(金融商品取引法)
など。
そして、その期間の起算日は契約書面をあなたが入手した日(もし契約書を送ってこない場合は、期間にカウントされない)と覚えておけばいいでしょう。
引越業者との契約内容(標準引越運送約款)とは?
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さて一方で、引越業者に引っ越し作業を依頼する上で交わす契約書とは、
引越業者を含む「運送事業者」を監督している「国土交通省」が定めたガイドラインに基づいた、引っ越しサービスの標準ルール「標準引越運送約款(やっかん)」というもので決まっています。
大手引越業者は元より、中小引越業者も多くの会社が準拠している「標準引越運送約款」によると、
参考文献:国土交通省「標準引越運送約款(最終改正 平成三十一年 国土交通省告示第三百二十一号」
引っ越しのキャンセルは3日前までなら無料となっています。
分かりやすく図解すると、
このようになります。
さらには、
見積書に記載した荷物の受取日の三日前までに、申込者に対して、見積書の記載内容の変更の有無等について確認を行われなかった場合には、解約手数料又は延期手数料を請求しません。
と、引越業者自らが、変更が無いか確認の連絡(電話やメール?)をし、その上でキャンセル料を取るという二段階の手順を踏むことが記載されています。
よって、
かなり、消費者(利用者)有利と思えませんか。
また、標準『貨物軽自動車』引越運送約款(最終改正 平成三十一年 国土交通省告示第三百二十一号)という軽貨物自動車を利用した引っ越しについても別に規定されていますが、キャンセル規定などについては、同様です。
なお、この規定については、2018年(平成30年)6月1日から適用されている為、この日より古い日付のネット上の記事や情報では、
もちろん、引っ越し当日から、3日以上(10日や2週間、1か月など)も日が有る場合には、自分から電話連絡し、キャンセル(解約)する旨を伝えれば、何の問題もありません。
場合によっては、解約理由を聞かれることもあるかもしれないので、きちんとした理由が言えるように準備はしておきましょう。
既に着手した分については請求されるので要注意

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しかし、このキャンセル規定には、但し書きが付きます。
それは、当然ですよね。
この付帯サービスには、例えば、梱包資材(ダンポールやプチプチなど)の無料サービスや、荷造りお任せサービスなどがあります。
契約取れないのに、タダ働きする人は居ません。
また、
このような場合、その業者に決定する可能性が無いならば、契約が決まった時点で持ってきてもらう(=見積もり時には持って帰ってもらう)ように、ハッキリと意思表示をして下さい。
あなたが契約した内容は?

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すでに説明したように、一般的な引越業者であれば、
但し、あなたが選んだ引越業者が、必ずしも、「標準引越運送約款(やっかん)」に準じている(強制ではない為)とは限らず、
特に、中小引越業者で名前を聞いたことないような会社や、初めからだますつもりの有る悪質な会社では、
場合によっては、1週間前にキャンセルを申し出なければならないとか、そもそもキャンセルできないとか、キャンセル料を全額払え!と書かれているかもしれないので、契約する前には契約書(見積書)の内容を十分確認してから契約するように注意してください。
もしキャンセル規定についてハッキリしない場合は、あなたの方から聞いて確認して下さい。その確認をすることで「あ、この人は知っている人だな。だますのは難しいな」と、相手をけん制することが出来ます。
引越安心マークの認定事業者から選ぶのが安心確実

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引越業者が加盟する団体に「公営社団法人:全日本トラック協会」があります。
この全日本トラック協会が、自主的に業界基準を策定し、平成26年(2014年)から、いくつかの基準を満たした「引越し優良事業者」のみに与えられる『引越安心マーク』制度というものをスタートしました。
審査基準は、以下の通りとなっていて、
(1)引越における約款を遵守していること
(2)苦情等に対する対応体制及び責任の所在の明確化を図っていること
(3)適切な従業員教育を行っていること
(4)適正な広告表示を行っていること
(5)適正な廃棄物処理等を行っていること
出典:全日本トラック協会プレスリリースから。
もちろんこの認定基準のひとつには、「標準引越運送約款(やっかん)」を遵守している事という項目もあります。
この「引越安心マーク」の有る無しが、安心できる(信頼できる)引越業者選びのひとつの基準と言えるでしょう。
2019年現在では、この「引越安心マーク」には、全国で323の事業者が認定されています。
公営社団法人:全日本トラック協会のホームページでは、認定事業者の一覧が公表されているので、引越業者を選ぶ(見積もりを取る)際には、覚えておくといいでしょう。
補足事項:引越し後に荷物の破損や紛失が分かった場合は?

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クーリングオフとは若干話はズレますが、
旧居から新居へ引っ越しが完了(引越業者の作業完了=作業終了確認欄などにサインした)後、あなたが荷物の開梱作業や点検中に、荷物の破損や一部荷物が紛失しているのに気づきました。
このような場合、何日以内なら、荷物破損や紛失のクレームを受け付けてもらえるか、あなたはご存知ですか?
「標準引越運送約款(やっかん)」第25条(責任の特別消滅事由)
荷物の一部の滅失又は損傷についての当店の責任は、荷物を引き渡した日から『三月以内』に通知を発しない限り消滅します。
正解は上記の通り、三か月以内(但し、2月を含む場合とか具体的に「何日間」という書き方はされていない)です。
必要があれば、少々日にちに余裕をもって、通知(申し出)をするようにして下さい。
また、
結論。引っ越しはクーリングオフ出来るor出来ない?
さらには、引越業者が向こうから連絡してこない場合は、キャンセル料の請求自体が無効であるという、引っ越し利用者にありがたいルールとなっています。
もし、引っ越しの契約を引越し日の3か月前にしたとすると、2か月と27日もクーリングオフ期間があるというスゴイことになっています。
他の製品や商材(8日または20日)とはえらい違いです。
あなたがこのことを知っているか知らないかで、引越業者の対応が変わってくる可能性があります。この一般ルールは必ず覚えておいて、変なことを言ってくる業者が居たら、毅然とした態度で臨みましょう。
引っ越し料金トラブルを避けるためには、まずは、「標準引越運送約款(やっかん)」を遵守している『引越安心マーク』を取得している事業者から選ぶのが間違いありません。
では、また次回。
についてお伝えします。
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